「目黒駅」と「中目黒駅」の違いは何か 周辺交通を分析してみた経済の「雑学」(5/5 ページ)

» 2024年04月11日 07時57分 公開
[小林拓矢ITmedia]
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中目黒駅周辺とは?

 東急東横線の中目黒駅周辺には、さまざまな施設がある。目黒区役所や東京共済病院だけではなく、知的財産高等裁判所の東京地方裁判所中目黒庁舎や、目黒学院の中学校と高等学校などのほかに、防衛省目黒地区といった陸・海・空の自衛隊などが共同使用している施設もある。地域的な拠点性は、こちらのほうが高いのだ。

 地域のにぎわいも、目黒駅周辺よりもすごいものがある。筆者が通った時間帯は、目黒駅周辺よりも多くの人であふれていた。

 中目黒駅では、筆者が乗ってきた系統とは別の系統のバスも運行されている。後者のほうが本数が段違いで多く、利用者が多いことが想定できる。このバスが、中目黒駅の拠点性を担保しているようだ。

中目黒駅と東急東横線

 もちろん、東京メトロ日比谷線や、東急東横線が使用している中目黒駅があり、この2路線、さらには東急東横線に相互乗り入れする東京メトロ副都心線が、中目黒エリアの求心性を高めているといっていい。

 中目黒駅周辺はかつて荏原郡目黒村と呼ばれていた場所で、こちらが本来の「目黒」であったと考えても差し支えないだろう。さらにさかのぼると、このエリアには上目黒村、中目黒村、下目黒村と「目黒」の名が付く村があった。

 このあたりには、目黒の中の目黒、という意識があるのだろうか。その意識を反映するように、中目黒駅周辺は人でにぎわい、各種施設も集まっている。

「目黒の中の目黒」と「目黒の入口」

 東急目黒線が地下鉄に乗り入れる前は、目黒駅は東急目蒲線のターミナルだった。しかし目蒲線自体は東急の源流となる路線ではあるものの、主要路線ではなくなっていた。現在の東急の屋台骨は、東急東横線となっている。東横線のほうが長編成で、多くの人が乗るようになった。

東急目黒線と東京メトロ南北線、都営三田線との相互直通運転をしている3000系車両(出典:東急電鉄)

 一方、目黒駅は目黒区内に向かうバスのターミナルとして現在も存在感を示している。中目黒駅は「目黒の中の目黒」、目黒駅は「目黒の入口」と考えるのが妥当ではないか。

 目黒区内の交通、あるいは目黒区への行き来に関しては、バスと鉄道のより良い協力関係を構築することが必要だ。幸い、目黒区内の鉄道は東急電鉄がメインであり、バスも東急グループとなっている。目黒区の各エリア、さらに目黒駅の求心性を高めるために、鉄道とバスのシナジーをより一層高めることが求められる。

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