では「今すぐChatGPTからClaude 3に乗り換えるべき」と言い切れるかといえば、そうとは限らない。文章そのものではなく、そこに盛り込まれている内容や構成に着目すると、ChatGPTのほうが優れているケースも少なくない。
例えば、先述の謝罪メールでは、Claude 3で生成された文面の内容が謝罪だけでまとめられているのに対して、ChatGPTは「再発防止策」まで記載されていた。相手の受け取り方にもよるが、後者のほうが誠実な印象を与えることができそうだ。
また、既存のデータを整理してまとめる作業についてもChatGPTのほうが優れた出力結果を得られることが多い。具体的には、会議の文字起こしを議事録にまとめたりプレゼン資料を作成したりといった用途が挙げられる。
ここでは「以下は商品開発についての会議の文字起こしデータです。この会議で議論された企画の実現について社内で承認を得るための説得力のあるプレゼンテーションを作成したいと考えています。各スライドの見出しおよびテキストの案を出力してください」という指示とともに、会議音声の文字起こしデータを模してAIで生成した5500字ほどのテキストを貼り、スライド資料の原案を生成した。
■ChatGPT(GPT-4)
スライド 1: プロジェクトの紹介
スライド 2: 市場と課題
スライド 3: 解決策と特徴
スライド 4: 製品設計
スライド 5: サイズと形状
スライド 6: 環境への配慮
スライド 7: デジタル連携
スライド 8: マーケティング戦略
スライド 9: 予算計画
スライド 10: まとめと次のステップ
ChatGPTの出力では、プロジェクトの紹介から始まり、「課題」を提示してそれに対する「解決」として企画である手帳を提案、その後具体的な仕様などを紹介するという流れをとっている。情報がきれいに整理されているので、なぜこの商品の開発が必要なのかも理解しやすく説得力がある。
同じプロンプトでClaude 3を使って出力された場合はどうだろうか。
■Claude 3 Opus
スライド1: 見出し: 若手ビジネスパーソン向け手帳の開発
スライド2: 見出し: 若手ビジネスパーソンのニーズ
スライド3: 見出し: 手帳に必要な要素
スライド4: 見出し: デザインとカスタマイズ性
スライド5: 見出し: プロトタイプの仕様
スライド6: 見出し: 製造とコスト
スライド7: 見出し: マーケティング戦略
スライド8: 見出し: マーケティングメッセージ
スライド9: 見出し: 予算配分
スライド10: 見出し: まとめと今後の展望
Claude 3の場合は、1枚目のスライドでいきなり紙の手帳とデジタルの比較について言及している。これは、元となった会議の序盤でそのような議論が行われているためだが、聞き手にとってはやや唐突に感じるかもしれない。全体的に「会議の内容をそのまま書き写した」という感じが強く、主旨は分かるものの説得力にはやや欠ける印象だ
会議などの場合、一つ一つの話題がきっちり順番に話されるとは限らない。途中で前の話題に戻ったり、別の話題に飛んだりすることもよくある。人の手でその内容をまとめる場合、順番を入れ替えたり同じトピックを1項目にまとめたりするなどの編集を加えることが多いだろう。ChatGPTは、その作業までしっかり行ってくれる。
このほかに、ページ数の多いPDFの資料をアップロードして「この資料の内容を元に、職場で使えるマニュアルをA4用紙2ページ分程度のボリュームで作成してください」といった指示を与えて新たな資料を作る場合なども、ChatGPTのほうが情報が整理された分かりやすい出力結果を得られる。
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