アイデアが浮かばない、こんな無駄な作業なくしたい――。ビジネスパーソンを悩ませる日々のさまざまな困りごと、ChatGPTに聞いてみませんか? ITジャーナリストの酒井麻里子氏がプロンプトの書き方を伝授する。
Q. 取引先に無礼を働いてしまいました。謝罪メールを書きたいのですが、ビジネスマナーなどにも配慮する必要があり困っています。ChatGPTを活用することはできますか?
ビジネスシーンにおいて、何かしらの不手際が発生し、取引先などに謝罪が必要な状況に陥ることは、誰しも経験があるだろう。謝罪文などの作成は気の重い作業だが、そんな時、ChatGPTの助けを借りることはできるだろうか?
結論からいうと、謝罪メールの作成そのものをChatGPTに丸投げするのはおすすめできない。AIで生成した文章には独特の言い回しのクセのようなものがどうしても出てしまう。謝罪メールの文面をChatGPTで作ってそのまま使った場合、ある程度、生成AIを使い慣れている人なら、人が書いた文章ではないことに気付くかもしれない。「手抜きで謝罪をしている」「誠意が感じられない」と受け取られてしまい、事態が悪化する可能性もある。
このような状況では「適切な謝り方」をChatGPTにアドバイスしてもらう使い方をするのがいいだろう。メールを書くときの参考にするためにサンプルの文面を出力することは構わないが、それをそのまま使うのではなく、アドバイスを踏まえたメールを書く際の手がかり程度に考えるほうがよい。
ITジャーナリスト/ライター。生成AIやXR、メタバースなどの新しいテクノロジーを中心に取材。その他、技術解説やスマホ・ガジェットなどのレビューも。著書に『趣味のChatGPT』(理工図書)、『先読み!IT×ビジネス講座ChatGPT』(共著・インプレス)など。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。株式会社ウレルブン代表。XRと最新テクノロジーのWEBマガジン「TechComm-R」運営。
ここでは、自分の立ち位置や現在の状況を記載したうえで「誠意が最大限に伝わるメールを書くにあたって注意すべきことを、ビジネスマナーも含めて教えてください」と質問。加えて、文面作成の参考にするため「丁寧で正しい日本語で書かれたメール文面のサンプルを出力してください」と指示した。謝罪しなければならないできごとの詳細については、少し長くなるので<状況>という見出しを設けて箇条書きでまとめている。
【プロンプト】
私は若手社員の教育担当として、大口取引先に謝罪をしなければなりません。起きたことは以下の<状況>の通りです。
先方は非常に怒っているようで、こちらからの電話に出てくれません。そのためまずはメールで謝罪したいと思っていますが、こちら側の非礼がとても多く、どのように謝ったらよいか分かりません。
誠意が最大限に伝わるメールを書くにあたって注意すべきことを、ビジネスマナーも含めて教えてください。あわせて、丁寧で正しい日本語で書かれたメール文面のサンプルを出力してください。
<状況>
このプロンプトに対して、以下の回答が出力された。謝罪時に注意すべきポイントが箇条書きで記載され、サンプルのメール文面もついている。
【回答】
謝罪メールを書く際に注意すべきポイントとして、以下のビジネスマナーを心掛けることが重要です。
1. 誠実さと謙虚さを示す: 誠意を込めて、謝罪の気持ちをしっかりと表現することが重要です。
2. 具体的な状況説明: 問題が発生した具体的な状況を認め、その責任を受け入れます。
(中略)
6. 個別対応の提案: 可能であれば、直接会って謝罪するなど、具体的なフォローアップの提案を行う。
以下は、上記のポイントを踏まえたサンプルメールです。
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件名: 大変申し訳ございませんでした
[取引先の会社名] [担当者様]
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
この度は、[日付]にお約束しておりました商談の日程に、弊社の若手社員が大変な非礼を働き、ご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。担当社員は日程を誤認し、さらに先方様からのご連絡にも迅速に対応できず、不適切な方法での謝罪の試みがあったこと、心より反省しております。
貴社担当者様が商談のため特別に出社されていたにも関わらず、このような事態を引き起こし、貴重なお時間を無駄にしてしまったこと、深くお詫び申し上げます。弊社といたしましては、この度の件を真摯に受け止め、再発防止策として以下の対応を行います。
1. 全社員に対する商談日程管理の徹底と、緊急連絡時の対応プロトコルの再確認
2. 担当者の意識改革と教育の強化
3. 内部連絡体制の見直しと改善
今後はこのような事態が再度発生しないよう、最善の努力を尽くして参ります。また、貴社に直接お詫びを申し上げる機会をいただけますと幸いです。
この度は、多大なるご迷惑をおかけしたことを重ねてお詫び申し上げます。今後とも変わらぬご支援、ご指導を賜りますようお願い申し上げます。
何卒、この度の件に関しましては、厳しいご指摘を賜りながらも、今後も変わらぬお付き合いを賜れますよう、心よりお願い申し上げます。
敬具
(中略)
謝罪のポイントには、再発防止策を提示することや直接会って謝罪することなど、するべきことが具体的に記載されている。このアドバイスとサンプルの文面を参考に謝罪メールを書けばよい。
繰り返しになるが、サンプルの文面をそのまま使うのは控えたい。例えば今回の出力では、メールではあまり使わない「拝啓」「敬具」が使われたり、「不適切な方法での謝罪の試み」などのぎこちない言い回しが使われたりと違和感のある箇所が散見される。
このような不自然な表現を残さないように「全面的に書き直す」つもりでメール文面を作成しよう。
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