2024年、生成AIはどう進化する? 「カスタマイズ」「マルチモーダル化」から考える前編(1/3 ページ)

» 2023年12月29日 07時00分 公開
[酒井麻里子ITmedia]

 2023年は「生成AI普及元年」ともいえるエポックメイキングな1年となった。22年末にChatGPTがリリースされると、公開から1週間足らずでアクティブユーザーが100万人を突破、2カ月後に1億ユーザーを超えるなど驚異的なスピードで広まった。

 生成AIは24年、どんな進化を遂げていくのか。私たちの仕事はどのように変わっていくのか。今年1年の動向を振り返り、2つの注目キーワードをもとに、生成AIが私たちの仕事をどう変えていくのか占ってみたい。

ChatGPTが登場してからまだ1年あまり。実に変化の早い1年だった

著者プロフィール:酒井麻里子(さかい・まりこ)

ITジャーナリスト/ライター。生成AIやXR、メタバースなどの新しいテクノロジーを中心に取材。その他、技術解説やスマホ・ガジェットなどのレビューも。著書に『趣味のChatGPT』(理工図書)、『先読み!IT×ビジネス講座ChatGPT』(共著・インプレス)など。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。株式会社ウレルブン代表。XRと最新テクノロジーのWEBマガジン「TechComm-R」運営。


生成AIが一気に浸透した2023年

 22年末のChatGPTリリース後、23年3月には、より高性能なモデル「GPT-4」が公開され、外部サービスの機能と連携できる「プラグイン」も登場した。7月にはファイルをアップロードしてデータ分析を行える「Code interpreter」(現Data Analysis)や、チャットの設定や要件を保存できる「Custom instructions」が公開されるなど新機能も続々と追加され、その度にわれわれユーザーは「未来」を感じながらそれらの機能をどう使うかを試行錯誤した。

 ChatGPT以外の対話型文章生成AIサービスとしては、2月にMicrosoftがGPTベースの「Bing Chat」(現Copilot)をリリース。4月にはGoogleも「Bard」を公開し、ユーザーの選択肢も広がっていった。

 国内の企業や自治体で生成AIを業務に取り入れる動きが比較的早い時期から起きていたことも注目すべき点だろう。パナソニックコネクトが2月にいち早くChatGPTをベースにしたAIアシスタントを導入。4月にはベネッセや日清食品もMicrosoft Azure上のOpen AI Serviceを活用したAIをグループ社員向けに提供するなど、大企業の導入も目立った。

 自治体では4月に横須賀市が生成AIを導入し、6月には実証結果の報告を公開。約8割の職員が「仕事の効率が上がる」「利用を継続したい」と回答していることが明らかになった。また、東京都は「文章生成AI利活用ガイドライン」を8月に策定。利用上のルールや活用方法などが分かりやすくまとめられ、自治体に限らず、企業が生成AIを活用する場合などにも大いに参考になる内容となっている。

東京都の「文章生成AI利活用ガイドライン」は、オンラインで誰でも閲覧・ダウンロードできる

 業務効率化やリスキリングを目的に個人で生成AIの活用法を学ぶビジネスパーソンも多く、SNSでは生成AIに関する投稿や情報交換も盛んに行われた。生成AIを積極的に使おうという意識をもって情報のキャッチアップや活用方法の試行錯誤に取り組んだ人にとっては、仕事の仕方や仕事に対する意識が大きく変化した年になったのではないだろうか。

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