事業が行き詰る一番の要因は「計画」? 参考にしたい3つのステップビジネスを成功に導く「相談の力」(2/4 ページ)

» 2024年04月18日 17時30分 公開
[山中哲男ITmedia]

仮説:5つの要素について検証して一次情報を得ている状態

 「仮説」は、事業を推進する上で考えるべき重要項目である「1.目的(何のためにやるのか)」「2.顧客(誰のためにやるのか)」「3.商品・サービス設計(どんな商品・サービスを作るのか)」「4.マーケティング(顧客との関係をどう構築するか)」「5.制約(実現する上でどんな制約があるのか)」といった5つの要素について検証し、一次情報を得ている状態を指します。

 つまり、見立ての段階から「こういうことをやってみたいけど、やったらこうだった」と言えるようにすることです。逆に、こうしたことが一つもいえないのが見立ての段階です。頭で妄想しているだけなので、リアリティーも説得力もなく、思い込みでしかないため精度が低くて形になりにくいのです。

 相談によってネクストアクションが見えて、見立てや仮説の検証を繰り返すことで、「やってみたら〇〇だった」という一次情報、すなわち事実をアイデアに乗せられるようになり、徐々に仮説の精度が上がっていきます。

 何かにチャレンジするときには、さまざまなアイデア(見立て)が浮かびます。それら一つひとつに対して、相談と検証を繰り返すことで見立てが仮説に進化し、検証を繰り返すことで精度が上がり、物事が前進するのです。

 それぞれ要素の仮説が磨かれると、事業の構想だったのものに具体性が生まれ、実現の可能性が見えてきます。これが「計画」の段階です。

 気を付けなければならないのが、「ただ5つの要素を個別に磨くだけではうまくいかない」点です。

 5つの要素が磨かれてくると「事業計画書」の必須要項は埋まります。一見すると検証済みのアイデアが盛り込まれているため、「完成度の高い計画が立てられた!」と思いがちです。しかし、私が言う「計画」の段階とは、5つの要素が一貫性をもって説明できる状態のことを指します。実はこれが簡単なようで難しいのです。事例を紹介します。

 私の知人が「おじいちゃん、おばあちゃんをきれいにして元気になってほしい」といった目的を掲げて美容室を開いたことがありました。見た目が変わって、元気なお年寄りが町に増えてほしいと私もその思いに共感して応援していました。

 ところがオープンして数カ月後、店内には「あれ?」と感じる光景が広がっていました。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.