事業が行き詰る一番の要因は「計画」? 参考にしたい3つのステップビジネスを成功に導く「相談の力」(3/4 ページ)

» 2024年04月18日 17時30分 公開
[山中哲男ITmedia]

目的を忘れるとやりたいことは実現できない

 店をのぞくと、若いお客さんであふれていたのです。聞けば、思うようにお客さんが集まらず費用対効果の高そうな大手のサロン検索・予約サイトに広告を出していたことが分かりました。

 サロン検索・予約サイトは若年層が多く見る宣伝媒体です。そのためガラス貼りの店内から見えるお客さんは若者が増え、オープン当初に来店していたシニア層が入店しづらい美容室になってしまい、当初想定していた顧客層が離れてしまいました。

 マーケティング施策としてさまざまな手法を仮説、検証し、最も効率的な選択肢を選んだつもりでも、目的が置いてきぼりになれば当初やりたかったことは実現できません。マーケティング施策に限らず、5つの要素全てに当てはまります。それぞれで積み上げた仮説は正しく見えても、それらが一貫していないとやりたいことを実現する計画の段階にあるとはいえないのです。

 当事者は目の前のことに必死でなかなか気付かないものです。一生懸命になるのは悪いことではありません。そうなることを見越して対処できるよう複数の人に相談すると軌道修正ができるはずです。

 相談と検証を続けて一貫性が出てくると、机上の空論ではなく多面的に検証できているため、最後の実現可能性の高い計画が自然とできるのです。

 ここまで読んで、気付いている人もいると思いますが、「見立て」「仮説」「計画」の3段階は一直線に進むものではありません。見立てから仮説へ進む際に相談と検証が必要なのは先述の通りですが、仮説の精度を上げる、5つの要素をつなぎ合わせて一貫性のある計画へと昇華する過程においても、相談、検証は欠かせません。

 相談結果によっては、進んでいた道を引き返し、新たな見立てを用意したり別の仮説を見いだしたりする必要が生じることもあるでしょう。つまり、事業とはこの3段階を常に行ったり来たりして前に進んでいくと言えます。

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