「東京湾アクアライン」6車線にすれば“渋滞”は解消するのか 課題は他にある高根英幸 「クルマのミライ」(4/5 ページ)

» 2024年04月19日 06時00分 公開
[高根英幸ITmedia]

6車線化だけでは渋滞は解消しない?

 23年6月、千葉県はアクアライン6車線化へ向けて国への要望書をまとめた。これは、車線を増やすことで渋滞解消を狙ったものだ。

 アクアラインはそもそも片側3車線の6車線化を見据えて設計されたとも言われている。実際に走ってみると1車線の道路幅がゆったりしていて路肩を広くとっているから、そのまま3車線化できそうに思えるが、これは緊急時に消防車や救急車が通ることを考えたものだ。

 つまり既存のトンネルでは6車線化は難しい。しかし既存の2本のトンネルだけでなく、海ほたるにはもう1本トンネルが通せるよう余裕がもたされており、海ほたるから川崎側へ300メートルほど掘り進められているらしい。

海ほたるPAを木更津側上空から見たところ。海ほたるの下に続く海底トンネルの入り口が左側に偏っているのが分かる。右側部分が車線増設用に確保しているスペースのようだ

 千葉県が国に提出した要望書には6車線化の検討を進めるよう書かれており、これから計画したとしても実現は10年先のことになる。

 ただし6車線化しても、海ほたるへの出入り口が増やせないなら、渋滞の解消にはならない。そういう意味では前述の海ほたるPA充実案には、PAへのアプローチの2車線化など、PAとしての容量拡大も併せて考える必要があるだろう。筆者はむしろこちらの方が重要だと思う。

 現在の海ほたるPAを俯瞰(ふかん)すると、トンネルの入り口側である千葉側に道路や施設があり、人工島の川崎側スペースには若干の余裕が見える。この部分を活用し、さらには必要であれば追加の埋め立てをして人工島を拡大し、現在の施設を囲むように立体駐車場と店舗スペースを拡大できないだろうか。

海ほたるPAを東京側上空から見たところ。川崎側は海底トンネルが続くだけで地上部は余裕があるように見える

 個人的にはモノレールも橋梁部分にオーバーハングさせて吊(つ)り下げたら、眺めは壮観であろうと思う。海底トンネルをさらに1本増やすことになるのだろうが、海ほたるPAでジャンクションのスロープを縫うようにモノレールが走れば、それは何とも複雑で、日本の高度技術をアピールする絶好の建築物になると思う。これからますます人口減少へ向かうことを考えたら、鉄道・モノレール導入は非現実的だろう。だが、夢見る層は一定数存在するであろう。

 さらにアクアラインより南、三浦半島と富津岬付近を結ぶ東京湾口道路も建設が検討されている。こちらはまだ具体的な建設計画はないものの、千葉県の各市長と県知事が国に早期実現への要望を提出している。

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