これから日本は人口も激減してどんどん貧しくなる。ということは、年金で悠々自適なんてことができるわけでもなく、今回亡くなった女性のように60代や70代になっても、山崎製パンのような食品工場で働き続けなくてはいけない人がたくさんいるということだ。
そこで、機械に巻き込まれたりして非業の死を遂げたところで、会社側はきっと「あーあ、非正規のじいさんが面倒なことをしてくれたな」くらいの感覚だろう。
世界に誇る「安くてうまい日本の食」を製造するためには、「世界一安くてマジメな労働力」が必要だ。外国人労働者も最近は低賃金の日本を敬遠しているし、経済が低迷する国では外国人排斥運動が盛り上がるのが常だ。となると、労働力として期待できるのは、シニアしかいない。
「人生100年時代」というスローガンのもと、80歳や90歳のパートやアルバイト勤務の人々が、命を削りながらパンや弁当を製造する。そして、それを買い漁る外国人観光客たちが「こんな安くてうまいものがつくれる日本スゴい!」と称賛している。
そんな未来がもうそこまでやってきていることを、「工場死」の増加はわれわれに告げているのではないか。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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