DNP、音声をリアルタイムで表示するシステム開発 感情に合わせてフォントが変化

» 2024年04月25日 08時00分 公開

 大日本印刷は4月23日、対話音声をリアルタイムで文字に変換し、透明スクリーンに表示する「DNP対話支援システム」を発売した。聴覚障がい者や高齢者など音声を聞き取ることが困難な人や、訪日外国人とのコミュニケーションを円滑に進めることを目指し、開発した。

photo 大日本印刷が「DNP対話支援システム」を発売(出所:プレスリリース、以下同)

 2024年4月に障害者差別解消法が改正され、障がいのある人への合理的配慮の提供が義務化された。これにより、年齢や障害の有無に関わらず意思疎通ができることへのニーズが高まっている。また、コロナ禍後に訪日観光客が増加したことで、窓口業務での多言語コミュニケーションが求められている。

 こうしたニーズを受けて、同社は感情や話題に合わせたフォントに自動で切り替える「DNP感情表現フォントシステム」と、会話をリアルタイムで文字化・翻訳するアイシンの音声認識システム「YYSystem」を連携し、DNP対話支援システムを開発した。

photo 聴覚障がい者や高齢者、訪日外国人とのコミュニケーションを支援

 DNP対話支援システムは、高度な音声認識精度と処理速度により、素早く正確に発言者の音声を文字に変換する。音声認識されたテキストをリアルタイムで解析し、感情やイメージを表す単語について、12種のフォントから自動的に最適なものを選択。目立たせたい言葉や重要な単語のフォント・色・大きさを強調して表示する。

photo 目立たせたい言葉をフォントや色で強調表示する

 日本語・英語・中国語・韓国語・ポルトガル語など23の言語のリアルタイム翻訳に対応するほか、透明スクリーンに文字を表示することで、対面接客時に相手の表情を見ながらの自然な対話を可能にした。また、指向性マイクを搭載しており、周囲の雑音の影響を軽減し、対話音声を収音しやすい仕様とした。

photo 翻訳機能にも対応

 現在、同システムは4月3日〜5月31日にJR九州の小倉駅に試験的に導入している。また、5〜6月にJR東日本の一ノ関駅にも試験導入する予定だ。同社は「自治体や公共交通機関などに提供し、関連サービスも含め2028年度までに10億円の売り上げを目指す」とコメントした。

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