皆さんのオフィスに、観葉植物はあるだろうか。何気なく置かれているかもしれないが、そこには深い理由が存在する。本コラムでは、観葉植物を置くことで期待される効果や、「公園のようなオフィス」を構築すべき理由について解説する。
本記事のテーマは、「自然への愛」だ。「総務向けの連載で、いきなり何のことだ」と思われるかもしれないが、お付き合いいただきたい。
「バイオフィリア」という言葉を聞いたことがあるだろうか。社会生物学者のE・O・ウィルソンが提唱した概念で、著書『バイオフィリア: 人間と生物の絆』では下記のように説明されている。
人間が自然や他の生物に抱く愛着は、生物多様性に富んだ自然環境の中で進化することにより生み出された生得的な性質。生物としてのヒトの遺伝子に組み込まれている可能性がある。人間は進化の過程で、生存のために利益をもたらしてくれた生物に対して肯定的な情動反応、行動が起こるように適応進化し、その反応は現在の人間にも残っている。
つまり、われわれは生まれながら、人類の生存に利益をもたらしてきた生物に対して好感を抱いており、それが遺伝子に組み込まれている可能性がある、ということだ。人間は、本能的に自然とのつながりを求める。
歴史を振り返ると、ホモサピエンスが東アフリカで誕生したのが、約20万年前。約6万年前から、その他の地域に進出し、人口の建造物に住みだしたのは、約2万年だ。人間はその長い歴史のほとんどの時間を、自然の中で暮らしてきた。「サバンナ仮説」というものを紹介したい。
人類は、祖先が一番長い間生息し、進化を続けたアフリカのサバンナのような環境を好む。人類の誕生以来、樹木は植物の供給源や避難所であったため、人間はサバンナ特有の樹冠が横広がりの樹形を好み、植物景観に治癒効果を示す──というものだ。
公園の大きな木の下に人が集まるのは、この理由だと納得できる。
こうしたバイオフィリアをオフィス構築に活用するためには、観葉植物の設置の他、どのような要素が考えられるだろうか。
バイオフィリアを実現するオフィスを、バイオフィリックデザインという。その構成要素を、効果が高いものから並べると、以下のようになる。
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