外国人労働者という「低賃金ですぐにクビを切れる労働者」が大量に流入すると、その国の労働者の「低賃金」を固定化させてしまうからだ。
このあたりの問題は5年半前、2018年10月に本連載の記事『だから「移民」を受けれてはいけない、これだけの理由』の中で指摘させていただいている。
当時、安倍政権は「人手不足」が深刻なので、外国人労働者の受け入れ拡大を表明した。ただ、データを見ると日本の「人手不足」は、労働者の数が足りないという話ではなく、「低賃金ですぐにクビが切れる労働者」が足りていないだけだった。
安い給料のわりに過酷な仕事、長時間労働を強いられる仕事、家族を養っていけるという希望が抱けない仕事なので、労働者が敬遠する。そういう問題も「人手不足」にひっくるめられている。
このような雇用のミスマッチを解消するために最も効果的なのは、労働者から敬遠される業界側が賃上げや生産性向上をして待遇改善をすることだ。つまり、経営者側が「成長」しなくてはいけない。これが産業の新陳代謝につながって、経済成長へとつながっていく。
しかし、国が海外から「安価な労働力」を輸入してしまうと、経営者側はそんなめんどくさいことをしないで済む。これまで安い賃金でコキ使っていた日本人労働者がベトナム人や中国人に代わるだけで、賃上げや生産性向上などの「成長」を目指さなくていい。
こうなると、日本経済は完全に停滞してしまう。
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