企業規模を問わず各社とも知恵をしぼって2024年問題に立ち向かおうとしている。実際に残業時間削減や採用定着に明確な成果が出た取り組みとしては、次のようなものが挙げられる。
ただしこれらの施策を実現するためにも、発注側である元請企業の協力は不可欠である点では運送業の構造とも同じである。
少なくとも適正な工期設定は必要となるし、残業でカバーできない分の人件費負担を施主に要求する必要も出てくるだろう。そうなると建築費用は現状より大幅増となることは明白であるが、業種そのものを持続可能にしていくためにも、社会全体で受け容れなければならないテーマであるといえる。
帝国データバンクの2024年1月調査によると、正社員の人手不足企業の割合は52.6%と過去最高水準に肉薄しており、「2024年問題」に直面している建設、物流、医療業界では人手不足割合は約7割にまで達している。
少子化がさらなる進展をしている以上、この傾向は今後も変化しないどころか、人手不足はあらゆる業界で顕在化していくことだろう。
今後は「人手が足りないから採用する」という手法に頼ることはより困難となるため、「人手がいない中でどう事業を回していくか知恵をしぼる」という方向にいかにリソースを投入できるかがカギとなるだろう。
これまでの「働き方改革」の文脈では、個別企業の努力によってITやシステム、機械化を進めて、極力少ない人手で売上や利益を最大化することに注力してきた。今後は国を挙げて、人手不足という難関に立ち向かっていかねばならない。
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