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建築業界「休めない、人手が足りない」 2024年問題を“さらなる苦境”にしないためには働き方の「今」を知る(2/4 ページ)

» 2024年05月09日 07時00分 公開
[新田龍ITmedia]

働き方改革を阻む、業界ならではの「2つの要因」

 一方で、業界ならではの「働き方改革を阻害する要因」もまた存在する。

 その一つは「週休2日制導入のハードルが高い」ことだ。先出の資料にもあった通り、現状週休2日制を実現している事業者は全体の約2割程度にとどまっている。その理由はさまざま存在するが、業界で広く採り入れられている「日給月給制」は原因の一つといえるだろう。

 日給月給制は、1日を計算単位として給料が定められているため、労働日数が多い月は給料が増え、労働日数が少ない月は給料が減る。したがって日給月給制のまま週休2日制になると、稼働日が純減し、収入も大きく減ってしまうこととなり、現場から反対の声が挙がるケースが少なくない。

 現場が動いている以上施工管理なども現場せざるを得ないため、実質的な休日出勤が常態化しているという構造だ。

 もう一つの業界ならではの要因は「多重下請け構造」である。IT・システム業界などでも見られるが、多重下請けによって中間マージンが差し引かれると、利益が残らず十分な人員を配置することが困難となる。

(国土交通省「重層下請構造の問題点」)

 結果的に一人当たりの負担が大きくなり、長時間残業・休日出勤の元凶となるうえ、指揮系統の複雑化、作業効率低下なども、労働環境の悪化につながってしまう。

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