物流業界における「2024年問題」が顕在化している。この問題を克服するためには物流業の生産性向上以外の道はない。ロジスティクス・コンサルタントの仙石惠一が、運送業はもちろん、間接的に物流に携わる読者に向けて基本からノウハウを解説する。
40年以上も前から「物流は宝の山」と呼ばれてきた。改善のメスが入っていないため、効率化のネタ(宝)が山ほどあるということだ。そうはいってもどうやって宝を見つけたらよいかが分からずにいるため、40年前と大きな変化はないと思われる。
さて物流という宝の山を掘る時に注目したいことがある。掘った時に出てくる宝は何も物流自体の効率化とは限らない。それよりももっと大きな宝が出てくることもあるということだ。
それが今回のテーマである「供給改善」の結果生じる「生産の効率化」である。この供給改善は工場の本質である生産自体の効率化につながるため、物流改善の初期段階で取り組むことが望ましい。それでは早速、供給改善のポイントを確認していこう。
供給作業とは、生産ラインに必要な部品や資材(以下、部品など)や、完成品を入れるための容器と生産指示情報を届ける作業のことである。大切なことは“届け方”であるが、それを定義すると「次の生産に必要なものを、必要な数量だけ、必要なタイミングで届ける」ということになる。
当たり前のことかもしれないが、これがきちんとできている工場はそれほど多くない。特に重要な要素が「タイミング」である。タイミングは「生産開始のギリギリ前」が望ましい。供給遅れは当然許されないが、早く届けすぎてもいけない。これをコントロールできる物流を目指していきたい。
先述した定義はやや概念的な表現になっているため、もう少し補足しておこう(図1)。供給作業を改善させるポイントは次の2点である。
これらの供給作業を定義通りに行ったとしたらどのような宝が見つかるだろうか。これから確認していこう。
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