「ハイチュウ→HI-CHEW」になってどうなった? 意外な人に売れた秘密「次の駅まで」に読めるハナシ(2/3 ページ)

» 2024年05月09日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

「英語とカタカナの両論併記」で決着

 海外で販売されているハイチュウは、どのような言葉が使われているのか。英語圏、スペイン語圏、中国語圏など、その国・地域によって違うのかなと思いきや、日本以外では「HI-CHEW」である(ロゴに並列して現地の文字を記載しているモノもあり)。海外での売り上げが伸びていく中で、社内からはこのような声があった。「外国人観光客も増えているので、何か手を打つ必要があるかも。商品が店頭に並んでいたら、すぐに気づいてもらいたいよね」と。

 しかし「じゃあ、ロゴを変えようか」といった話にはならなかった。理由は「歴史」だ。先ほど、ハイチュウは「1975年に生まれた」と紹介したが、日本では半世紀にわたってカタカナで表記してきたこともあって、変更することに高いハードルがあったようだ。

1975年に生まれたハイチュウ
1986年にスティックパックが登場
2000年に10粒から12粒に

 では、何がきっかけで「カタカナ→英語」への動きが加速したのか。ひとつは「組織の体制」である。2023年、社内に「グローバル推進室」を設け、海外でハイチュウを売っていこうという気運が高まったという。

 長年もやもやしていたロゴ問題が動き始める。社内で「カタカナは残したほうがいいよ」「いやいや、なくしたほうがいいのでは」といった議論がある中で、2023年夏、パッケージに「英語のみ」のモノを試験的に販売した。結果は「非常に好評でした」(マーケティング本部の堤崇将さん)とのこと。

 英語のロゴは受け入れられることが明らかになったが、本当にそうなのか。念のためもう一度調査したところ「英語とカタカナの両論併記」が最も支持されていることが分かってきた。

 こうした背景があって、2月から「両論併記」の商品が誕生した。で、反響はどうだったのか。小売店の販売データを見ると、前年同期と比べて「2ケタ増」という結果に。外国人観光客に手に取ってもらったこともあるが、「Z世代の売り上げが伸びた」(堤さん)という。どういうことか。

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