逆求人の「OfferBox」はなぜ伸びているのか 人気の秘密は反「数打ちゃ当たる理論」就活生25万人が利用(2/5 ページ)

» 2024年05月13日 06時00分 公開

景気の反転と就職活動のルール変更がサービス拡大に影響

 事業をスタートした直後、当時の安倍政権下ではアベノミクスが発表されるなど、景気上昇の気配が見られた。さらに、2013年には東京でのオリンピック・パラリンピックの開催が決定。開催に向けて人材不足を懸念する声が高まったこともあり、求人倍率は右肩上がりで上昇した。

 一方で、学生数は変わらないため採用手法の改善を求める声も高まった。売り手市場となり、優秀な学生を囲い込むため就職活動の早期化も進んでいた中で、2016年卒からの就職活動スケジュールが変更される(選考開始を大学4年生の4月から8月に後ろ倒す)ことが発表された。

photo 2013年から有効求人倍率は伸長(出所:リクルートワークス研究所)

 景気の反転と、就職活動のルール変更が事業拡大のターニングポイントになったと中野氏は振り返る。「就職活動のスケジュールが後ろ倒しとなったことでインターンシップが生まれ、その募集でもサービスを利用したいという企業からの要望が殺到した。当時、インターンの時期に利用できるサービスが他になかったことも大きかった」

 そこで、インターン募集のニーズに対応するため、早期定額型のプランを追加した。この判断が功を奏し、取引が拡大。景気の波とマーケットの環境変化が事業スケールに大きく影響し、OfferBoxは順調に成長していった。

photo 現在ではおよそ9割の学生がインターンシップに参加している(i-plug調べ)

業界では異例の「オファー枠」

 OfferBoxが拡大した要因は、外部環境の変化以外にもある。そのひとつが、サービス開始以来続けている「オファー枠」だ。OfferBoxには、「採用計画1人につき、オファーを40枠付与(2人なら80枠、3人なら120枠を付与)」と、採用計画に応じてオファーの数に上限が設定されている。

 学生側にも「同時にやりとりできる会社を15社まで」という縛りがあり、満枠使い切っている中で新たな会社と会話したい場合は、すでに受け取っているオファーに対して意思表示しないと次に進めない仕様となっている。

photo 早期定額型プランの詳細

 「お金のある企業に多くの送信権利が集まり、お金のない企業には権利がないという状態を防ぐ」ためにオファー枠の追加販売も行わないほか、「オファーの一斉送信機能」も設定していない。

 学生のプロフィール詳細画面に入らないと「オファーを送る」ボタンは出てこず、プロフィールも1人分しか閲覧できない仕様だ。「一括送信」ボタンもないため、企業側は必然的に一人ひとりの情報をしっかり確認することとなる。

 「一括送信はインターネットの利便性であって、人間のコミュニケーションの原理原則ではない」(中野氏)

photo オファー枠に制限を設けられている

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