相談相手の力を引き出しながら事業やプロジェクトを進めると、構想だったのものに具体性が生まれ、実現の可能性が見えてきます。
この計画の段階で選ぶべき相談相手は、ずばり「多面的に見てくれる人」です。一言で言うと“批判的な目で見てくれる共感者”です。ちょっと分かりづらいと思うので、どんな人かイメージが湧くように、私自身が「多面的に見てくれる人」に相談した事例を紹介します。
私が、地方創生に関わる事業に関して相談したときのことです。仮説検証を重ねて「いよいよ、これでいけるはずだ」という計画段階でした。ところがその人は、全体像を見た上で「サービスは良いと思うけど、実行することによって困る人もいるんじゃない?」と指摘をくれました。
その事業は、地域外から若い人を呼び込み、地域での雇用創出や一次産業との連携によって、まちの経済を活性化させるというものです。私自身は良いサービスだと思っていました。そのため、「困る人もいるんじゃない?」という指摘に強い衝撃を受けました。
相談相手は続けて言いました。「人が増えて経済が活性化すると土地の価格が上がるでしょう。そうすると固定資産税が上がる。その地域に住み続けようと思っている人は困るんじゃない? 若い人が増えるということは、夜に騒いでうるさくなる可能性もある。もともと住んでいて、静かに暮らしたいと願う人にとっては暮らしにくくなる側面もあるよね」とズバリと指摘され、自分のサービスによって喜ぶ人のことだけ考えていたことに気付かされました。
自分が良いと思ったサービスでも、反対側には困る人がいる――。設定した「顧客」以外にも意識を向ける重要性をこの相談をきっかけに再認識し、私自身今でも大切にしています。
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