最後にお伝えする相談相手は「相談のための相談ができる人」です。これは「見立て」「仮説」「計画」どの段階でも共通して良き相談相手になります。
どんな人かと言うと、業界や業種を問わずにさまざまな人とつながっている“ハブ”のような人です。この人に聞けば直接相談にも乗ってくれますし、他に適切な相談相手がいればつないでくれます。
ただ、「相談のための相談」にはパラドックスがあります。それは、紹介をしてもらうことを目的とするとうまくいかないという点です。納期が迫っていたり、ネクストアクションが見つからずに焦ったりしていると「〇〇を紹介してください!」「誰か紹介してくれませんか?」と言いがちです。それだとうまくいきません。
相談のための相談ができる人は、人と人とのハブ役ですが、紹介する側とされる側の信頼がないとハブ役にはなれません。またそのような人は、人と人をつないで終わりではなく、そこから新しい化学反応が起きる事に喜びを感じる場合があります。
そのためまずは相談のための相談ができる人としっかり向き合うことが大切です。相談相手に共感が生まれて「この人を応援したい」という気持ちが芽生えれば、適任者を紹介してくれるでしょう。つまり紹介を相手に委ねることが、この相談相手の力を最大限引き出せる秘訣です。
いかがでしたか。相談相手の力を引き出せれば、相談する側にとっても相談される側にとっても、相談は良い時間になります。そうすると、相手はまた次も相談にのってくれやすくなります。このサイクルが回ると、応援しあえる関係の相手が増えていく好循環が生まれます。ぜひ1つでも試してもらえるとうれしいです。
Q:相談相手がいません……。どうすれば見つかるでしょうか?
A:相談相手がパッと思い浮かばない場合には、友達でも社内の同僚でも身近な人にまず相談してみてください。うまく相談することが重要なのではなく、ネクストアクションを1つでも見つけることが大事だからです。
その人からは適切な回答がなくても、誰かを紹介してくれるかもしれません。興味関心に合うイベントに誘われるかもしれません。仮に相談相手の選び方を間違っていたとしても、今回の経験を踏まえて次は誰に相談すべきかが分かるかもしれません。
いずれにせよ、相談しないよりはした方がネクストアクションの選択肢が増えるはずです。「うまく相談しないと」という思い込みを外して、まずは身近な人に相談する習慣を加えると、少しずつですが着実に相談相手が増えていくはずです。
トイトマ 代表取締役社長 山中哲男
1982年兵庫県生まれ。事業開発、事業戦略立案の専門家。2003 年に新規事業開発支援、既存事業の戦略立案をハンズオンで支援するインプレス(現:トイトマ)を創業し、代表取締役に就任。米国ハワイ州にて日本企業に対し、海外進出支援、店舗M&A 仲介にも従事し、丸亀製麺の海外1 号店などを支援。19 年に地域開発の新たなファイナンススキームを構築し展開するため、NEC キャピタルソリューションと共にクラフィットを創業し代表取締役に就任。他にも複数の企業の取締役、中央省庁政府の有識者委員・アドバイザー、大阪・関西万博2025事業家支援プロジェクトチームサブリーダーなどを務める。近著に『相談する力 一人の限界を超えるビジネススキル』(発行元:海士の風、発売元:英治出版)がある。
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