さらに筆者らの最新調査で発見されたのは、日本のビジネスパーソンは自主的に学ばないだけではなく、学びを「秘匿」する習慣も広く存在するということだ。2023年というリスキリングが話題になった時期の調査でも、56.2%の学習者が、自身の学びやその内容を同僚に共有していなかった(パーソル総合研究所「学び合う組織に関する定量調査」 )(図2)。
学んでいる管理職ですら、47.8%が学びを同僚に言わない。また、具体的な専門知識や学び方など、自分の学びについての相談も約6割が周囲にしたことがない。こうした周りに見られないようコソコソ勉強する、「学びの秘匿化」もまた、日本の課題の奥深さを示している。
この「学びの秘匿」の習慣は、過去の研究でも指摘されてこなかったが、学び合う組織づくりにおいては極めてクリティカルな問題だ。図3のように、ただでさえ少ない主体的な学習が職場で秘匿化されることで、職場において可視化される(共有される)学びは、全体で2割以下になってしまう。いくら一部の従業員が積極的に学んだとしても、それが伝播(ぱ)しないということは、組織マネジメントの観点から見ると大きなハードルだ。
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