この記事は、パーソル総合研究所が4月4日に掲載した「コソコソ学ぶ日本人――『学びの秘匿化』とは何か」に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。なお、文中の内容・肩書などはすべて掲載当時のものです。
昨今、リスキリング・ブームと人材開発の活性化により、各企業で「学び合う組織づくり」への関心が高まっている。しかし、パーソル総合研究所が実施した「学び合う組織に関する定量調査」では、日本は学ぶ個人が少ないのと同時に、学んでもそれを周囲に共有しないという、学びの「秘匿化」の傾向が明らかになった。本コラムでは、組織としての人材開発を阻害してしまうこの秘匿化のプロセスについて詳しく紹介したい。
昨今「人的資本経営」や「リスキリング」のブームにより、人材開発・人材育成への経営的関心が高まっている。人材開発費が長期に抑制されてきた日本では、数十年ぶりのトレンドといっていい状況だ。
その一方で、eラーニングや手挙げ式の研修を拡充した企業からは、「参加する従業員がごく一部しかいない」「いつも同じ人しか受講してくれない」「学んでほしい人ほど学ばない」という悩みが多く寄せられる。今、持続的に学び合う組織をいかにしてつくることができるのか、その重要性があらためて問われている。
それもそのはず、日本の就業者は、国際比較の観点から見ても圧倒的に学びの習慣を持たない。性別・年代を一定にして比較したパーソル総合研究所の「グローバル就業実態・成長意識調査(2022年)」 では、読書を含む社外学習を「何も行っていない」人の割合は、世界平均で18.0%だが、日本は52.6%。圧倒的な学び習慣のなさが示されている。
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