帝国データバンクが7月、全国の全業種2万7768社を対象に実施した調査によると正社員が不足していると感じる企業は51.4%を記録し、コロナ禍前の水準へと完全に戻っている。
さらに中小企業に限れば、ほぼ7割で人手が不足しているというデータもある。日本商工会議所のが9月末に公表した調査結果によると、「人手が不足している」と回答した中小企業の割合は68.0%だった。
この割合は調査を開始した2015年以降で最高水準であり、その中でも約6割の企業は事業運営に支障が生じるレベルの「深刻」な状態だと回答。少子化の影響で若者の絶対数自体も減少している状況で、今後人手不足感はさらに高まることはあっても、解消されることはおそらくないだろう。
「お前の代わりなんていくらでもいるんだ!」などというパワハラがまかり通っていた時代があったことなどまるで嘘のように、今や人を採用することは極端に困難になりつつある。
「大手ナビサイトに100万円以上費やして求人広告を出稿したのに、内定どころか応募数自体ゼロだった……」といった経営者の嘆きを聞くことも珍しくなく、これまでとは次元が違うレベルの人手不足に直面し、一体何をすればいいのか途方に暮れている関係者も多いことだろう。
求人広告を出せば母集団が自然に集まり、その中から上位の優秀層を厳選して採用する、という旧来型の「待ちの採用」は通用しない時代となった。さらにはネットやSNSの発達により、企業が求人広告でPRする「アットホームな職場です!」「優しい先輩が懇切丁寧に指導!」「若い力で急成長中!」といった美辞麗句には「過度な編集」がなされている旨が知られるようにもなってしまった。いくら耳に聞こえのよいアピールがなされていたとしても、それらは決して労働環境や職場実態を正しく反映したものではないことが、既に見透かされているのだ。
しかしこのような状況下においても、募集に対して多くの人が集まり、また高い従業員定着率を誇る会社は確実に存在している。
誰もが名前を知る大手企業や有名企業であれば、その知名度だけで応募者が集まってくるのは当然と思われるかもしれないが、今回ご紹介する企業は決して大手でも有名でもない。むしろ、規模は比較的小さく、全国的な知名度もなく、大都会に立地しているわけでもない、むしろ世間的には不人気と評されるような業界であったりもする。
それでも独自の企業努力によって好業績を維持し、労働環境を改善することで働き手のエンゲージメントを高め、高い定着率や採用成功につながっているのだ。では、それらの企業では具体的にどのような取り組みをしているのか。
人手不足でお悩みの経営者や人事責任者の皆さまにおかれては、ぜひご参照いただき、自社で実践可能な方法があればどんどん取り入れ、横展開してもらえれば幸いである。
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