近年、ココイチは人件費や原材料費の高騰から値上げを繰り返してきた。「ポークカレー(ライス300グラム)」の価格推移を振り返ると、かつては500円未満でワンコインに収まる金額だったが、2019年3月には505円へ上昇。さらに同年10月は、消費増税の影響で514円へと再値上げとなった。
これで終わらず、2022年6月には547円へ、同年12月以降は591円になっている。3年で4回も値上げしているのだ。ポークカレーだけでなくトッピングも同様に値上げしており、かつて295円だったソーセージ(4本)は現在、316円で販売している。
こうした戦略が功を奏し、ココイチの客単価は2023年2月期に初めて1000円超えを果たし、1018円となった。2012年度が850円ほどだったことを考えると、約10年で200円近くのアップセルを遂げている。試しに公式Webサイトで公開している「ココイチトッピングシミュレーター」を使うと、2品をトッピングするだけで1000円を超える価格感であることが分かる。
ココイチの運営元である壱番屋における、2020年2月期から2024年2月期までの業績は下記の通りだ。
売上高:約514億円→約442億円→約450億円→約482億円→約551億円
店舗売上高(国内):約880億円→約762億円→約745億円→約787億円→約884億円
営業利益:約52億円→約25億円→約28億円→約36億円→約47億円
複数回の値上げを実施したにもかかわらず、好調を続けていることが分かる。ちなみに運営元の壱番屋は、全社で約1450店舗を展開しており、ココイチは国内で約1200店舗、海外で約200店舗。また、国内では1100店舗以上がフランチャイズ(FC)店だ。ロイヤリティを取らないため、直営店の売上高とFC店への材料卸しが本部の収入となる。
直営とFCを合わせた国内の店舗売上高は2021年2月期と2022年2月期に落ち込んだ。店舗は東京圏、大阪圏、そして発祥地である愛知に集中しており、これら大都市圏では駅前・繁華街に店舗を構えているため、人流減少の影響を受けたことが原因だ。しかし2023年2月期は二度の値上げにもかかわらず回復し、物価高が続く2024年2月期にはコロナ禍前の水準を超えている。
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