繰り返しますが、相談は、物事を前に進めるためのネクストアクションを見つけるものです。その相談がうまくいかなかったからといって失敗と断じず、ネクストアクションが見えていれば前に進んだと考えていいのです。その繰り返しで解像度が高まり、さらなるネクストアクションが見える。この積み重ねが事業やプロジェクトを前に進める原動力になるのです。相談を中長期のスパンで考える。これも私が大切にしている習慣の一つです。
私は今でも、新しい事業やプロジェクトに関わるときは相談から始めます。相談から入らないと、解像度を上げられないためです。相談を20年にわたって続けてこられたのは、分からないことを分からないと言い、臆せずに聞き、うまくできなければ「ごめんなさい。もう1回お時間をください」と言えたからだと思います。
「分かりません」「またお時間をいただいてよろしいですか?」この2つのキーワードを相談の場で使えるようになって気が楽になりました。その上で、相談相手にはその日のうちに「今日はありがとうございました。今日の宿題は次の機会までにやってくるので、またお時間をいただければ幸いです」と投げかけます。
相談は一発勝負ではありません。成功も失敗もないのです。相談を通じてアクションを止めずに進み続けることが、行き詰った状況を打破しながら、できることが増え続けていく良い循環を生むのです。
Q:相談相手として適切ではない人はどんな人でしょうか?
A: 分かりやすいのは「こちらの話を全く聞かない人」です。豊富な知見や経験を話してもらえるのはありがたい部分がある反面、自分の置かれている状況や課題に即した話ではないので、自分事化できずネクストアクションにつながりにくい場合が多いです。
ただし、相手は良かれと思って親身にアドバイスをしてくれている可能性もあります。その時は「話の途中にすみません。前提となるこちらの状況や課題感をまずはお伝えしてもよろしいでしょうか?」と一言挟むと良いでしょう。
トイトマ 代表取締役社長 山中哲男
1982年兵庫県生まれ。事業開発、事業戦略立案の専門家。2003年に新規事業開発支援、既存事業の戦略立案をハンズオンで支援するインプレス(現:トイトマ)を創業し、代表取締役に就任。米国ハワイ州にて日本企業に対し、海外進出支援、店舗M&A 仲介にも従事し、丸亀製麺の海外1号店などを支援。19 年に地域開発の新たなファイナンススキームを構築し展開するため、NEC キャピタルソリューションと共にクラフィットを創業し代表取締役に就任。他にも複数の企業の取締役、中央省庁政府の有識者委員・アドバイザー、大阪・関西万博2025事業家支援プロジェクトチームサブリーダーなどを務める。近著に『相談する力 一人の限界を超えるビジネススキル』(発行元:海士の風、発売元:英治出版)がある。
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事業が行き詰る一番の要因は「計画」? 参考にしたい3つのステップCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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