難度の高い資格を取得したら、最大で1000万円超の支援金を支給する──。KADOKAWAが、社員向けの資格取得支援制度を拡充した。
2022年3月に導入した制度で、2024年5月1日より対象資格を116種から139種に拡大。支援金の上限も100万円から、最大1000万円超に大幅に引き上げた。
最も高額となるのは、海外MBA取得時の1000万円以上。弁護士、弁理士、税理士、公認会計士などの資格は、1000万円に引き上げた。国内MBAは500万円とした。
制度の利用件数は、2024年4月末時点で349件。支給した支援金の総額は2357万円に上る。1件当たり5万円ほどの支給が多数を占めており、ITパスポートや簿記3級など、各分野のファーストステップとなるような資格が大半だった。
同社グループ人事局の泉谷智朗氏は、「(こうした資格は)気軽にチャレンジできる良い資格だが、さらなるステップアップになれば」と、拡充の意図を説明する。より専門的で高度な知識を身につけてほしいとの期待が見える。
今回の改定では、語学やIT系の資格について重点的に増額した。グローバル展開や、デジタル人材の育成に注力する狙いもあるが、必ずしも業務に直接的に生かすべきとは考えていないという。現在の業務に関わるものでなくても支給する。
「自律的なキャリア形成に生かしてもらうという目的のほか、資格取得という成功体験を積んで自信をつけ、当社で活躍してほしいという狙いもある」(泉谷氏)
高額な支援金が目を引くが、資格に「合格したら」支給するという形式も、本制度の特徴の一つだ。人的資本に注目が集まる中、企業は社員の学びに対し投資を拡充している。リスキリングやスキルアップのための投資の多くは、eラーニングの受講代などを企業が負担する形式で行われるが、本制度ではあくまで「合格後」の支給にこだわったと泉谷氏は明かす。
なぜ「合格後」にこだわったのか。また、予算についてはどのように調整しているのか? 後編記事「『資格取ったら最大1000万円超』──予算はどう調整? KADOKAWA人事に聞く裏側」ではそうした疑問に対する同社の回答のほか、社員の自律的なキャリア形成のための同社の取り組みを紹介する。
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