遠香氏: 「勇気」と「思いやり」。すごくシンプルでしょう。でも、バスケチームとして成長するためにも、人として成長するためにも、この2つは欠かせません。また、練習や試合を見ている側も、部員たちが勇気と思いやりを持って汗水流している姿を見ると、感動しますよね。
佐藤氏: 理念をチームの成長だけでなく「自分たちの成長のため」に活用するのは分かりますが、見ている人のことまで考えるんですね。
遠香氏: もちろん考えますよ。純粋にバスケットをみたいなら、プロチームの試合を見たほうがいいじゃないですか。では、なぜスキルも経験も発展途上な学生の試合を観に来てくれる人がいるのか。私が学生を指導するときは、そこまで考えて行動するように伝えています。
佐藤氏: 理念をただ伝えるだけでなく、学生たちがきちんと納得できるように落とし込んでいるのですね。
遠香氏: 私たちコーチの仕事は、いわゆる「魚を与えること」ではなくて「魚の取り方を教えること」ですから。
食事指導を例にあげると、「これを食べなさい」とメニューを強制するのではなく、体作りのためには、どんなものをどれだけ食べたらいいかを教えて、自分でメニューを考えられるように指導していきます。
佐藤氏: 遠香先生が、理念をとても大事にされているのは分かりました。ただ、名門校として成果もあげていかないといけないですよね。遠香先生がコーチとして就任して以来、東京成徳中学校は何度も全国制覇を達成し、再び全国屈指の名門校として各地に名を轟(とどろ)かせていきます。成果をあげるためのチームの目標は、どのように設計したのでしょうか。
遠香氏: まず前提として、目標はコーチの私ではなくて部員たちで立てるように指導しています。部活は私ではなく、部員たちのものですからね。目標を立てるための相談には私も乗りますが、どんな目標で1年間やっていくか決めるのか、最終的に決めるのは部員たちです。
佐藤氏: 基本的には、学生たちに目標設定を任せているのですね。しかし、それだと想定外の目標があがってくることはないですか……?
遠香氏: もちろんありますよ。私は「このチームなら、全国制覇を狙える」と思っているのに、「ベスト8入賞」を目標に掲げてくることもある。その逆もあります。
私の経験上、入学したばかりの1年生は、自分のスキルや経験以上に自己評価が高くて、無茶な目標を立てることが多い。しかし、上級生になって経験が増えていくにつれて、今度は過小評価し始める子が増えるんですよ。
佐藤氏: これも、会社と一緒ですよね。入社したばかりの頃は万能感に満ちあふれているけど、年次が上がるにつれて自分の未熟さや不甲斐なさを痛感するというか。でも、自分を客観的に見れない状態だと、自分の成長に必要な目標も立てられないですよね。遠香先生は、どのように指導していますか。
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