午後の紅茶「夏はアイスティー」猛プッシュ 市場拡大で狙うコーヒーの座(2/2 ページ)

» 2024年06月10日 12時41分 公開
[菊地央里子ITmedia]
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実は夏に飲まれない紅茶、なぜ?

 午後の紅茶の2023年における販売量は5000万ケースを突破。今年の第1四半期売り上げは前年同期比7.6%増と好調だ。「通年で堅調な売れ行きですが、実は夏場の販売量が伸び悩む傾向があります」(原氏)

 一般的に夏期は清涼飲料水が最も売れる時期だが、多くの消費者は炭酸飲料やスポーツドリンクを選ぶ傾向にあるという。その要因として、原氏は「紅茶=ホットのイメージが強く、夏の飲み物として認識されていないからではないか」と分析する。

tea 今年のアイスティー作戦(同社提供)

 そこで同社は昨年の夏から、暑い時期の飲み物としてアイスティーを訴求する取り組みを開始。今年の夏は午後の紅茶のリニューアルの他、首都圏各地にアイスティーを提供するキッチンカーを走らせる。また、ホテルや飲食店、夏の行楽地であるプールや海水浴場と協業し、アイスティーを提供する予定だ。

tea 午後の紅茶 キッチンカー(同社提供)

 同社が午後の紅茶のプロモーションに力を入れる背景には、コーヒーの存在がある。「飲料市場全体のうち、コーヒーが占める割合は11%ほど。一方の紅茶は4〜5%と大きく離されています。強気な目標ではありますが、コーヒーと同等の市場規模を目指しています」(同社社長 井上一弘氏)

 そのためには今回のリニューアルにような商品価値の向上に加え、紅茶を飲むシーンの提案を続けることが必要だと原氏は話す。コーヒーは朝や仕事の合間など、飲むシーンを具体的に思い浮かべることができる一方で、紅茶には「飲むシーンが思い浮かびづらい」という弱みがあるからだ。

tea 紅茶に必要なのは「飲むシーン」の訴求(同社提供)

 さらにペットボトルタイプのコーヒーが台頭したことも、紅茶にとって脅威だという。「コンビニやスーパーの飲料コーナーを見ると、紅茶が棚の隅に追いやられています。数年前に登場したペットボトルタイプのコーヒーが市民権を得たことで、紅茶が弾かれてしまっているのが現状です」(井上社長)

 コーヒーチェーンであるスターバックスやタリーズは昨今、紅茶に特化した店舗の展開に力を入れている。また、セブン-イレブンは紅茶を提供するマシンの導入を進めており、同社は紅茶市場には成長余地があると見込む。コーヒーという強力なライバルを前に、リニューアルした午後の紅茶はどこまで健闘できるか。

tea 活況の紅茶市場、新しい午後の紅茶はどうなる?(同社提供)
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