リテール大革命

AI導入で自動化 それでも小売業には「人手」が必要なこれだけの理由Retail Dive(1/4 ページ)

» 2024年06月21日 07時00分 公開
[Daphne HowlandITmedia]
Retail Dive

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生成AIでデジタル戦略はこう変わる AI研究者が語る「一歩先の未来」

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生成AIは人類史上最大級の技術革命である。ただし現状、生成AI技術のあまりの発展の速さは、むしろ企業での活用を妨げている感すらある。AI研究者の視点から語る、生成AI×デジタル戦略の未来とは――。

 近年、小売店舗における人手不足が目立っている。オペレーションの変化や採用難、企業の経費削減など、さまざまな理由が背景にある。

 コロナ禍以降、オンライン注文処理、ピックアップ&デリバリーなどのオムニチャネル・サービスが定着したため、店舗運営はより複雑化している。賃金が上昇し、失業率が低下したため、多くの地域で雇用が厳しくなっている。また、売り上げの悪化に直面した小売企業の中には、従業員数を減らし、テクノロジーに置き換えているケースも少なくない。

 「多くの店舗は、以前よりはるかに少ない人員で運営している。概して従業員数と労働時間は減少している」と、英国の調査会社GlobalDataマネージング・ディレクターのニール・サンダース氏はメール取材で述べた。「米百貨店大手Macy's(メイシーズ)はその良い例で、1店舗当たりのスタッフ数は、2019年に比べて約18%減っている」

写真はイメージ(ゲッティイメージズ)

「買い物が楽しくなくなった」

 メイシーズだけではない。米労働統計局によると、小売業全体で雇用は減少しており、今後さらに減る見込みだ。3月の雇用統計によると、全体の失業率が3.8%であるのに対し、小売業の失業率は5.1%。今後10年ほどの間に、小売業は7万7000人近くの労働者を失うと予想されている。

 しかし、小売業の雇用に詳しい識者らは、従業員を減らして店舗運営するのは間違いであり、業務に新しいテクノロジーを導入するとしても、その代わりに人員を増やすべきだと指摘している。例えば、生成AI技術を用いて小売企業の支援を手掛ける米Theatro社の調査では、回答者の40%以上が、店舗での買い物がコロナ禍以前に比べて「楽しくなくなった」と答え、そのうちの60%が人員不足を理由に挙げている。

 店舗の人員配置は「目に見えて収益の改善に直結するため、削減しやすい分野だが、問題は、それが目に見えない多くの問題を引き起こし、スタッフの士気や顧客満足度に悪影響を与えることだ」とサンダース氏は言う。「結局のところ、これは売り上げに悪影響を及ぼしかねない」

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