若年層の取り込みに当たり、ポイントと考えたのが「社会貢献」だった。宮石氏は「若年層はSDGsの学習など、環境問題を学びながら育った世代です。そのため、社会貢献している企業の商品を購入したい、あるいはそうした企業で働いてみたいと思うはずです」と話す。
同社はビジョンに「地域社会と共に成長していく」という文言を盛り込んでいる。地域貢献として、長らく県内の「よこはま動物園ズーラシア」への資金支援と車両提供や、植樹活動への参画、希少生物の生息地域である田んぼの保全活動などの活動をしてきた。しかし、こういった活動について積極的なPRはしてこなかった。
そこで2023年4月に立ち上げたのが、メディアプロモーショングループだ。渡部聡子(営業推進部 戦略企画室 メディアプロモーショングループ 主査)さんは「これまで『販促』視点での情報発信はありましたが、当社の社会貢献を発信するケースはなかなかありませんでした」と振り返る。
メディアプロモーショングループでは、これまで開設したものの休眠状態だったInstagramやYouTubeをフル活用。1週間に少なくとも3回は更新しているといい、外部発注ではなく内製というから驚きだ。
そこで活用しているのがAdobe Expressで、現在約10ライセンスを契約、運用している。基本的にデザインなどの経験がない「ノンクリエイター」が使用しており、本社スタッフの他、一部の店舗スタッフにもアカウントを付与している状況だ。
これまで、同社が販促用のポスターなどクリエイティブを作成する際は、まず社内で意見をまとめ、外注先に制作を依頼していた。しかし、社内の調整に外注先とのやり取りにと、情報のキャッチボールが大きな負担になっていたという。
ユーザーのスキルを問わず、簡単にコンテンツを制作できることが強みであるAdobe Expressを導入したことで、状況は一変。現在はクリエイティブを内製でまかなっており、これまで制作したコンテンツ量から逆算すると、導入から半年ほどで数百万円規模のコスト削減効果が表れている。「コストカットの余地は、まだまだあるのではと考えています」と宮石さん。
記事の冒頭で紹介した吉田さんは、以前は店舗で販売を担当しており、ITやデザインの知識には自信を持っていなかったという。それが今や、YouTubeに投稿する動画を作成するまでになっている。
「Adobe Expressは、テンプレートが豊富で、動画にテロップを入れるときなどに役立っています。簡単な言葉で検索するだけで、たくさんの案が出てくるのでありがたいです」(吉田さん)
商用利用が問題ないこともポイントに挙がる。従来は、クリエイティブを制作する際に素材の商用利用を確認する作業が大きな負担になっていた。「商用利用の規約を読むような時間もなくなりましたし、安心して制作できることで心にゆとりができました」と渡部さんは笑顔を見せる。吉田さんも「作業時間が半分ほどに減りました」と話す。
シンプルな操作性であることから、これから組織に加入する人へのレクチャーのしやすさも感じている。それ以外では、吉田さんが「テンプレートを見ながら、色の使い方やデザインの勉強にもつながっています」と話す通り、リスキリングにも威力を発揮しそうだ。。
ちなみにAdobe Expressは、アドビの生成AI「Adobe Firefly」を搭載しており、動画の背景加工などの「編集」だけでなく、画像生成も可能だ。この点について、画像内の不要な映り込みを削除するなどの使い方はしているものの、画像を生成するプロンプトのブラッシュアップに課題を抱えており、今後より使い込んでいきたい考えだ。
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