メルカリはHR関連事業に参入したわけだが、短期間で会員数が大きく伸びた要因は2つある。1つめは「市場の成長」だ。スポットワーク協会によると、国内のスポットワーク登録者数は2024年3月末時点から2カ月で約700万人増加し、5月末時点で約2200万人に上っているという。
2つめは「フリマアプリ メルカリ」の存在である。月間アクティブユーザーは2300万人を超えるなど、その存在感は大きい。巨大な顧客基盤を抱えていることも急成長を後押しした。
スポットワーク市場の二大勢力は、先駆者のタイミー(登録者数700万人)とメルカリである。ただ、2024年秋からはリクルートとバイトルなどを運営するディップが参入することを表明している。
HR業界の大手企業が加わることで市場の拡大がさらに加速するとともに、競争の激化が予想される。この動きに対して、太田氏は「(メルカリ ハロは)業界の中でも独自のポジションを築けるのではないか」と自信を見せる。どういうことか。
スポットワークを始めるには、専用アプリのダウンロード、会員登録、本人確認、銀行口座登録などが必要でハードルが高い。一方、メルカリ ハロの場合、メルカリで本人確認が完了していれば追加情報は簡易なものだけとなるので、すぐにスタートできるというアドバンテージがある。
アプリを開き、「はたらく」のタブをクリックすれば、すぐに仕事を検索できる。日常の買い物ついでに仕事を探すことができ、マッチングが可能となっている。メルカリ ハロを使って働いたことがある人の約6割が「スポットワークは初めて」と回答していることを考えると、そのハードルの低さがうかがえる。
会員数や登録店舗数を順調に伸ばしているものの、課題もある。現状、求人の絞り込みは「都道府県」と「日時」しかできないので、開発の余地がまだまだある。例えば、利用者からすると「職種」や「給与」といった検索ができれば便利なはず。同社もそのことはよく理解していて、「スタートアップ的に開発を進めています」という。
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