これが「使われない充電器」が生まれる構造的な問題である。国としては「EV普及」という大義があるが、2024年5月のデータでもBEV(電気自動車)とPHEV(プラグインハイブリッド車)と合わせてもシェアは2.4%程度で、欧米や中国と比べるとほど遠い(出典:日本自動車販売協会連合会および全国軽自動車協会連合会のデータより)。
そこで、この大義を進めるために打ち出したのが「2030年までに30万口の充電器」という目標だ。そんな中で「ここは稼働率が高いので設置しよう」とか「低いからやめよう」というような細かいことを言っていたら、とても目標は達成できない。となると、残された道は補助金を突っ込んで、「設置できるところにどんどん設置していく」という作戦である。
そこでガンガン使われたら「当たり」だが、山武市のようになってしまうと「ハズレ」。もちろん、この場合は急速充電器ではあるのだが、普通充電器に関しても同様に「使われない充電器」になるか否かは、つくってみないことには分からない現状があるのだ。
「お国の事情」はよく分かるが、われわれの貴重な血税も含まれる補助金を使っている以上、そんな「バクチ」のようなことでいいのか。そこで経産省製造産業局自動車課の担当者に「使われない充電スポット」問題について質問したところ、こんな答えが返ってきた。
「充電器の稼働率は非常に重要なポイントだという認識で、4月22日に開催された『第7回 充電インフラ整備促進に関する検討会』でも議題に上げさせていただきました。今後は補助金を活用して設置した充電器は、稼働率などを事業者のホームページなどで公表するのかということも含めて検討を進めてまいります」
2024年6月時点、稼働実績を公表しているのはイーモビリティパワー、エネチェンジ、ユアスタンド、ユビ電の4社のみ。だが、今後は先ほど触れたテラチャージも含めて補助金を用いた充電器は全て稼働率をオープンにすべきではないか、という議論が事業者の間でも行われているという。
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中国製BEVは今後どうなるか 避けられない現実Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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