もちろん、課題は多い。例えば、会社によって稼働率の算出方法や開示項目およびその定義が異なっているので、これを経産省のもとで「統一」しなくてはいけない。
では、もし稼働率公表が義務化されれば、充電インフラ整備の進め方はどのように変わっていくのか。前出の充電器事業者関係者はこんな近未来を予見する。
「補助金を使っている以上、稼働率を重視していく流れは当然です。今後は稼働率の公表を含むEVユーザーへの情報提供の高度化が推進され、費用対効果の高い施設や利用プランの設計が優先的に補助金を受けられる前提となっていくのではないでしょうか」
そんな“読み”を裏付けるように、前出の経産省担当者も「補助金の要件に稼働率を入れるか否かなどあらゆる可能性を検討していく」という。
「いまさら?」とあきれる人も多いだろうが、EVインフラ整備にもここにきていよいよ「費用対効果」の視点が盛り込まれていくかもしれないのだ。
確かに国民感情としては、いくら国から「地球のためにEVに乗りましょう」と呼びかけられたところで、そのインフラ整備に自分たちの税金が費用対効果を度外視で注ぎ込まれていたら、「EVってなんかうさんくせえ」とシラけてしまうだろう。
本当にEVを普及したいのなら、「ブラックボックス」はつくらずに、充電インフラの実情をつつみ隠すことなく全てオープンにすることから始めるべきではないのか。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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