なぜ「うなぎビジネス」が盛況なのか “うなぎのぼり”が続きそうな3つの理由と大きな不安スピン経済の歩き方(7/7 ページ)

» 2024年07月10日 05時00分 公開
[窪田順生ITmedia]
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批判を受け、その後……

 しかし、国際社会で「残酷だ」と批判が寄せられ、国内世論も徐々に犬食反対に傾き、2024年1月には韓国の国会で犬食禁止法が可決された。若い世代を中心にほとんどの国民がこの法律に賛成だが、「伝統食」ということでなんとか存続させようとする人や、根強いファンもいる。ポシンタン専門店の店主はこう語っている。

「お年寄りや、骨折して松葉づえで来る人には、特に栄養のある部位を優先的に出すようにしています。するとまた来てくれるんです。午後3時ごろに1人で来て大盛りのポシンタンを食べる女性のお客さんもいます。『これを食べて元気を出さなきゃ』と言っているのを聞くと、この商売をやっていてよかったと感じるんです」(2024年2月9日 NHK国際ニュースナビ)

 このようなことがそう遠くない未来の日本でも起きるかもしれない。つまり、水産資源保護の観点から「うなぎ食」が国際社会から批判され、外圧に屈する形で日本国内でも「うなぎ食禁止法」が可決されるのだ。

 「マンガかよ」と失笑する人も多いだろうが、「犬がかわいそう」という理由で韓国の伝統食は禁止されたのだ。動物愛護よりはるかに深刻な「種の絶滅」を持ち出され突っぱねられるとは思えない。

 しかも、日本は西側諸国からの「エコ圧力」にめっぽう弱く、羊のように従順に従う。分かりやすいのが「SDGs」だ。世界を見渡しても、こんな上っ面なスローガンで大盛り上がりしている国は少ない。

 「うなぎビジネス」も今は活況だが15年もすれば、「SDGsの観点からもうなぎを守れ」と騒いでいて、みんな日清の「謎うなぎ」を食べているかもしれない。

「日清謎うなぎ丼」(7月15日発売)

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受


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