やっぱりUFOっているの? 月刊『ムー』が“ムー民”の好奇心をつかんでいるワケ創刊45周年(5/5 ページ)

» 2024年07月30日 05時30分 公開
[小林香織ITmedia]
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『地球の歩き方』とのコラボは異例のヒットに

 近年のコラボの中でも注目度が高かったのは、ガイドブック『地球の歩き方』とコラボし、2022年2月に発売した『地球の歩き方 ムー 異世界(パラレルワールド)の歩き方』(学研プラス、2420円)だ。

読み物として企画したコラボガイドブックは、累計発行部数14万部を超えるヒットに(ワン・パブリッシング提供)

 当時はコロナ禍でガイドブックは苦戦していたが、「現地に行くためというより、読み物としておもしろい内容にしたら売れるのではないか」と考え、コラボにいたったという。地球の歩き方はムーと同じく1979年の創刊であり、他社のガイドブックと比較してややマニアックな情報を掲載しているという親和性もコラボを後押しした。

世界の不思議なスポットを地球の歩き方とムーの両者の視点で紹介(ワン・パブリッシング提供)

 幻のムー大陸や謎の古代遺跡、UFO、UMA(未確認生物)の出没地など、世界中に残る不思議に満ちたスポットの数々を取り上げ、地球の歩き方とムーの両者の視点で紹介。教科書的な定説とムーならではの大胆な超仮説を組み合わせているのが特徴だ。

 発売されるとSNSを中心に話題を集め、初回版は売り切れ店が続出するなどして、何度も重版がかかった。ガイドブックは3万〜4万部売れれば上々だというが、本書は累計発行部数が14万部を超える異例のヒットになった。

 「メディアからも大きな反響がありました。『地球の歩き方』がこんなものを出すんだっていう意外性があったようです」(三上氏)

第二弾は日本のミステリースポットを厳選(筆者撮影)

 2024年3月には、第2弾となる『地球の歩き方 ムーJAPAN 〜神秘の国の歩き方〜』を発売。「日本」をテーマに、全国のミステリースポットを厳選して紹介している。こちらも売り上げは好調だ。

 「第2弾は実際に現地に足を運ぶことを想定し、エリア別の章立てにしています。編集部おすすめのモデルルートも掲載しました。各地の不思議な伝承・伝説の紹介などムーの世界観も散りばめています」(三上氏)

青森県新郷村のイベント「ミステリーキャンプ」は数百人が集まる人気イベントだ

 ムーでは「日本不思議再興計画」というテーマを掲げ、日本各地に眠るミステリースポットや史跡などを文化施設や観光地として盛り上げていく事業も加速させている。例えば、キリストの墓がある青森県新郷村では、キャンプ場を使って「ミステリーキャンプ」を実施。今年で3年目となり、数百人が集まる人気イベントになっている。

 雑誌の枠を超えて「ブランド」として価値を高めているムー。一つの雑誌の成功事例として学べる点が多くありそうだ。

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