高級旅行の需要が急増しており、米国の航空会社はそれを取り込もうと急いでいる。
航空会社はより快適で広い座席を追加。より良い旅行体験のために多く支払う顧客を引き寄せようとしている。サウスウエスト航空、スピリット航空、フロンティア航空のような低運賃モデルで知られる一部の航空会社も、これらの顧客を獲得するために従来のビジネスモデルからシフトを試みる。
航空会社の幹部たちは、消費者が物品への支出を減らし、旅行などの体験を優先していると述べている。米国の航空会社は、この旅行ブームが数年続く現象であると見込んでおり、高級市場のシェアを拡大しようとしている。
この取り組みは、労働費や運営コストの上昇を補うために、利益率の高い収入源を見つけるという業界全体の戦略の一環である。コンサルティング会社デロイトによる5月の調査では、1年前よりも快適な飛行体験に対して支払う意思のある旅行者が増えていることが分かった。
「高級旅行を選択する顧客のセグメントは、業界がかつて見たことがないほど強力だ」と、アラスカ航空の最高財務責任者はインタビューで述べた。
プレミアムキャビン需要の増加により、アラスカ航空は第2四半期に主要キャリアの中で最高の調整後税引前利益率を達成した。また、デルタ航空やユナイテッド航空の収益も押し上げた。
アラスカ航空は今年、リージョナルユニットの航空機を改造し、40万席のプレミアムシートを追加した。今後はメインライン機に年間130万席のプレミアムシートを追加する計画を立てている。
アラスカ航空とリージョナルユニットは、6月末時点で合計326機を保有していた。
2023年、デルタ航空は全ての機体にプレミアムシートを設置すると発表した。ユナイテッド航空では、北米の1便あたりのプレミアムシート数が2019年から2026年までに75%増加すると見込まれている。
市場調査スタートアップ、米アルファセンスのリサーチディレクターによると、米国の航空会社のプレミアムシートは、パンデミック前から2026年までに50%増加する見込みである。
しかし、航空会社があまりにも積極的に移行しすぎると、供給過剰によって価格競争力が損なわれるリスクがある。国内市場における座席供給の過剰により、航空会社の収益はすでに苦しんでいる。
米アルファセンスのリサーチディレクターは、航空会社が供給過剰を避け価格競争力を維持するためには、段階的に進めるべきだと指摘する。
プレミアム戦略の成功にはサービスや製品の信頼性も重要となる。デルタ航空のCEOは2023年、信頼性が旅行者を引き寄せるための航空会社の基本的な方策であると述べた。
しかしアナリストたちは、デルタ航空がグローバルなサイバー障害によって引き起こされたフライトの混乱が、プレミアムブランドのイメージを損なったと指摘。デルタ航空はこの件についてコメントを控えている。
同様に、ジェットブルー航空の収益はプレミアムサービスを提供しているにもかかわらず低迷。人気の業界ブログ「Cranky Flier」を運営する航空アナリストは、ニューヨークに拠点を置くジェットブルー航空には運営上の課題が原因であると指摘している。
7月30日にジェットブルー航空は、運営の信頼性が顧客にとって最優先事項であり、持続可能な収益性への回帰のための戦略の重要な要素であると発表。「航空会社の運営が不十分でも問題ないと思っているなら、それは間違いだ」と航空アナリストは述べた。
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