AIの発達が急速に進むなか、今後社会にどのような変化が起きるのか。野村総合研究所でITのリサーチを行うチームが萌芽事例やニュースなどを取り上げ、新たな課題と可能性について多角的に解説する。
創作の世界で、AIは長らく人間のパートナーとして描かれてきた。例えば、映画『2001年宇宙の旅』のHAL 9000や、映画『アイアンマン』のジャーヴィス、『新世紀エヴァンゲリオン』のMAGIシステムといったように。『ドラえもん』もそうだろう。
では現実世界ではどうか。2011年にiPhone4Sとともに登場したSiriは、スマートフォンに搭載されたAIアシスタントとして大きな注目を集めた。その後、Googleアシスタント、Amazon Alexa、Samsung Bixbyなどが登場し、AIアシスタントは私たちの生活に身近な存在となった。
しかし、創作で描かれるような人間のパートナーにはなっていない。実際には音楽再生や天気予報の確認、タイマー設定、スマート家電の操作など、シンプルな音声認識タスクが主だ。これは、AIがユーザーの意図を正確に理解し、複雑なコンテキストを処理するのが難しいという技術的な制約が背景にあるためだ。
だが近年の生成AI技術の進化がこの状況を変えつつある。本稿では、人間にとってAIが“真の相棒”となるかもしれない「AIエージェント」と「マルチモーダルAI」の最新動向について触れ、今後の展望を考察したい。
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