価格設定においても、両国で大きな違いがあります。米国のAmazon Pharmacyでは競争力のある価格設定を行っています。特にPrime会員向けの送料無料サービスは、会員にとって魅力的です。
一方、国民皆保険の日本は国が定めた保険調剤の公定価格となります。つまり、どの薬局で購入しても薬代自体は大きく変わりません。ただし、配送料に関しては薬局ごとに設定が異なるため、ここに若干の価格競争の余地があります。
米国のAmazon Pharmacyは、Amazon自身の経営する薬局からの出荷です。Amazonの強力な物流ネットワークを生かし、効率的で迅速な配送サービスを提供しています。この点が、日本のサービスとの大きな違いの一つとなっています。
米国では、Amazonの既存の物流インフラを最大限に活用し、一部の都市では同日配送も実現しています。
最も革新的なのは、テキサス州カレッジステーションで始まったドローンによる処方薬の配送です。これにより、注文から60分以内という驚異的なスピードでの薬の配達が可能になりました。また、渋滞が激しいニューヨークではeバイクを使用した配送も行っています。
一方、日本のAmazonファーマシーでは、配送は各薬局が担当します。そのため、配送のスピードや料金は薬局によって異なり、米国のAmazonのような統一された高効率な配送システムにはなり得ません。代わりに、店頭での受け取りも選択できるのは特徴といえるでしょう。
この配送システムの違いは、両国のサービスの本質的な違いを反映しています。米国ではAmazonが直接薬を販売・配送しているのに対し、日本ではAmazonはあくまでプラットフォームの提供者に現時点では留まっているのです。
米国のAmazon Pharmacyでは、Prime会員向けに特別なサービスを提供しています。例えば、処方薬の割引や無料配送などがあります。これは、既存のAmazonの顧客ベースを活用して医薬品市場に参入する戦略の一環です。
日本のAmazonファーマシーでは、現時点でPrime会員向けの特別なサービスは提供されていません。これは、前述の通り薬の価格が固定されていることや、Amazonが直接薬を販売していないことが理由として考えられます。
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