押し寄せる外国人観光客は、本当にカネを落としているのか小売・流通アナリストの視点(1/4 ページ)

» 2024年08月30日 08時00分 公開
[中井彰人ITmedia]

 少し前までインバウンド関連のニュースと言えば、人口減少で伸び悩む日本の個人消費を支えてくれる救世主的な存在としてのニュアンスが多かったと思うが、最近は異なる側面からの取り上げ方が増えているような気がする。コロナ禍の間、あれほど待ち望んでいたインバウンド客だが、5類移行後、一気に過去最高のペースで訪日客が訪れるように。受け入れ態勢も整わない中で、オーバーツーリズムが各地で発生している。

hyakkaten 急増するインバウンド客(写真はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

 最近では、インバウンド客が増えすぎたことで、観光地の地域住民とのトラブルについての報道も増えているようだ。中でも、山梨県富士河口湖町が、インバウンド客に人気の「富士山ローソン」に目隠しの幕を設置したというニュースはご存じの方も多いだろう。インバウンド客が殺到したことで、ごみのポイ捨てや車道へのはみだしなど、迷惑行為に対する地元住民の苦情が相次いだことから、撮影が出来ないように自治体が措置したらしい。

hyakkaten 富士山ローソン(提供:ゲッティイメージズ)

 こうしたインバウンド客の迷惑行為に対する地元住民の苦情は、有名観光地では無数に発生している。この手の話では、「写真を撮ったらそのまま帰ってしまって、カネを落としてくれるわけでもないのに迷惑だ」というニュアンスも多分に感じられる。現状、インバウンド需要は経済的に貢献していると、本当に言えるのだろうか。多角的な視点でデータを分析してみた。

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