SNSコンテンツやIPプロデュース事業などのエンタメビジネスを手掛けるMinto(東京都港区)代表取締役の水野和寛です。
2018年、メルカリが東証マザーズに時価総額7000億円を超えて上場しました。日本政府も2022年11月に「スタートアップ育成5か年計画」を策定し、日本国内におけるスタートアップ市場は注目を集めています。
しかし、日本では長らく「ユニコーン企業が少ない」「グローバル展開で成功できない」と言われてきました。果たして、日本のベンチャー企業は、世界に打って出ることができるのか。生成AIが台頭するなか、テクノロジーとエンタメの関係は、今後どんな変化を遂げていくのか――。
今回は、当社Mintoが2024年2月に出資を受けた、スタートアップ支援を手掛けるNTTドコモ・ベンチャーズ(東京都港区)代表取締役社長、安元淳さんをゲストに、国内外のベンチャー企業のトレンドや、エンタメビジネスの展望をうかがいます。
株式会社Minto代表取締役。
一般社団法人ライセンシングインターナショナルジャパン理事。
前職で国内最大級のデコメやゲーム等の事業を牽引後、株式会社クオン設立。キャラクター・スタンプで世界60億超DL。2021年にSNS漫画で国内最大級のwwwaapと経営統合し、株式会社Mintoに。 統合後新たに立ち上げたWeb3、Webtoon、メタバース領域の事業も成長中。
水野: まずは簡単に、安元さんの経歴を紹介いただけますか?
安元: NTTに入社後、法人営業に従事し、その後はNTTグループにおけるポータル事業やインターネットサービス開発を担うNTTレゾナントに異動し、「goo」というポータルサイトの運営やWebサービス企画、開発に携わりました。
水野: インターネットサービスのディレクションを経験されていたんですね。
安元: はい。Webサービスで利益を出すことの難しさを感じる日々でした。2010年以降、「gooから面白く、新しいサービスが出てこない」という危機感を抱き、2011年頃にベンチャー企業との新サービス創造プログラム「Challengers」を主催しました。オープンイノベーションの考え方を取り入れており、幸運なことに、いろいろな経営者と話をする機会を得ることができました。
水野: その経験は、今の仕事につながっていますか?
安元: そうですね。当時、ベンチャー企業との協業を推進していたこともあり、NTTインベストメント・パートナーズにジョインし、6年ほどベンチャー出資に関わりました。その後、NTTドコモにおいてスポーツやエンタメ分野での事業開発を経て、2023年6月にNTTドコモ・ベンチャーズの代表取締役社長として再びベンチャー業界に戻ってきました。
水野: なぜベンチャー投資の世界に戻ろうと思ったのですか?
安元: 起業家と対峙する仕事は、プレッシャーがかかる反面、とてもやりがいのある仕事だと思っています。NTTグループとしても国内のベンチャーエコシステムの加速拡大に寄与したいと思っていたこともあり、再びチャレンジしたいとは思っていました。
水野: 2024年2月にMintoも出資を受けましたが、安元さんが就任後、NTTドコモ・ベンチャーズは「テック×エンタメ」領域に注力されている印象があります。
安元: NTTドコモがエンタメ領域に力を入れており、IPを軸にしたマネタイズの戦略を立てています。NTTドコモ・ベンチャーズは、直近の投資活動においてB2C事業への出資をあまりできていませんでした。私もNTTドコモ時代に「スポーツ&エンタメ」の事業開発に従事していたので、NTTドコモ・ベンチャーズでもしっかりエンタメ領域にコミットしたいと考えました。
水野: エンタメ領域で注目しているトレンドはありますか?
安元: アフターコロナで、一気にライブビジネスの熱が高まっています。2023年はひとつのチャレンジとして「JWC(明治安田Jリーグワールドチャレンジ2023 powered by docomo)」というスポーツの興行ビジネスを仕掛けました。海外サッカーチームのマンチェスターシティFCと、FCバイエルン・ミュンヘンを招致し、横浜F・マリノスも交えて国立競技場で試合を開催しました。
水野: スポンサーでなく、興行主という立場だったんですね。同業他社で、同じような取り組みをしている企業はあるのでしょうか?
安元: まだ数は少ないです。放映権、チケットビジネスやグッズ販売を行えるのは、興行主という立場でないとできません。今後も続けていく予定ですが、もっと進化させていきたいですね。「d払いでお買い物をしていただくと、dポイントを還元する」など、ドコモグループの資産も活用しながら、いろいろなチャレンジをしていきます。
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