個人の嗜好(しこう)に合った顧客体験を提供しようと、小売企業が注力するパーソナライゼーション。そのニーズはWebサイトやアプリだけで終わるものではない。顧客は、店頭スタッフやカスタマーサービスの担当者からも個別の対応を期待していることが、米市場調査会社Incisivと、AIを用いたCX関連ツールを手掛ける米Talkdeskの共同調査で分かった。
Web体験のカスタマイズを超えて、実店舗や対面でのパーソナライゼーションを実現するには、特別な配慮が必要になる場合がある。
店頭でのパーソナライゼーションにおいて、スタッフは重要な役割を果たすが「効率的に仕事を進めるためには適切な設備が必要」だと小売DXサービスを展開する米Aptosのリテール業界インサイトディレクター、デイブ・ブルーノ氏は話す。
モバイル端末を活用すれば、スタッフが顧客を売り場から移動させることなく、その場で必要な情報を提供できる。ブルーノ氏は、CX Diveのメール取材に対し「従業員はレジカウンターに縛られるわけにはいかない。店内を見て回る顧客と対話し、パーソナライズされたサービスを提供できるようにサポートする必要がある」と述べた。
また、パーソナライズされた体験は「単におすすめ商品の提供だけで終わってはならない」とブルーノ氏は指摘する。従業員は、商品が置かれている場所に顧客を案内し、不足している商品についてはその場で注文できるのが理想的な形といえる。
パーソナライゼーションによって売り上げ増に寄与できるのは、店頭スタッフだけではない。調査によると、小売業者の3分の2以上が、代理店やチャットボットを介したパーソナライズされたカスタマーサービスが、顧客維持率を大幅に向上させると認識している。
また、買い物客の3分の2が、チャットボットが自分の名前や購入履歴を認識するなど、パーソナライズされた対応によって、再度その小売企業で購入する可能性が高まると回答している。
© Industry Dive. All rights reserved.
Special
PR注目記事ランキング