ニンテンドーミュージアムは京都・宇治市の観光を救う? 「資料館」が地域にもたらすものエンタメ×ビジネスを科学する(3/3 ページ)

» 2024年09月19日 08時00分 公開
[滑健作ITmedia]
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宇治市も動く

 宇治市も、ニンテンドーミュージアムに合わせた動きを計画している。国土交通省の令和6年度「共創・MaaS 実証プロジェクト」の一つ、「新たな観光拠点創生にともなう地域交通の再生事業」だ。

 この取り組みは、京都京阪バスが7月から、京阪宇治駅〜JR宇治駅〜ニンテンドーミュージアム〜近鉄小倉駅を結ぶ新路線を運行するというもの。ニンテンドーミュージアムの開業に合わせて、運行時間帯の拡大を計画している。このように、地域の自治体や企業からも観光の目玉施設として期待が寄せられている。

 最後に筆者が特に注目しているのは、ニンテンドーミュージアムが持つ、日本の娯楽文化の歴史資料館・博物館としての機能である。

 任天堂のように、130年以上日本の子ども世代の娯楽領域でビジネスを行い続けた企業は多くない。明治期からの日本の娯楽文化を一貫して追い続け、新たな娯楽を創出し続けた歴史や、娯楽の中心がデジタル機器へと変遷していく経緯を、当時の製品とともに鑑賞・体験できる唯一無二の施設が、このニンテンドーミュージアムである。

 今や日本の一大産業に成長したエンターテインメント領域。その礎となる日本の娯楽文化の歴史がここにある。この歴史的価値は時間がたつごとに高まり、国内のみならず国外からも多くの注目を集めるだろう。そう遠くない未来に、日本の名だたる博物館と並び称される存在となることに期待したい。

著者プロフィール:滑 健作(なめら けんさく) 

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 株式会社野村総合研究所にて情報通信産業・サービス産業・コンテンツ産業を対象とした事業戦略・マーケティング戦略立案および実行支援に従事。

 またプロスポーツ・漫画・アニメ・ゲーム・映画など各種エンタテイメント産業に関する講演実績を持つ。

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