時代に逆行してあえて「地方・築古・一戸建て」に着目 社会問題化する「空き家」活用ビジネスが今アツい(2/4 ページ)

» 2024年09月30日 05時00分 公開
[大関暁夫ITmedia]

投資ファンドの下で再出発

 その後、2008年に創業者の持株が投資ファンドへ売却され、2012年にファンドによる実質的なMBOによって上場が廃止となります。そして2013年にカチタスへと社名を改め、中古住宅リフォーム販売会社として再スタートを切ったのでした。

 その際にファンドが経営者としてスカウトしたのが、新井健資現社長です。新井社長は、銀行員、政治家秘書を経て大手コンサルティングファームでコンサルタントとして活躍の後、米国でMBAを取得。帰国後にリクルートで不動産ビジネスに従事するという、幅広いキャリアの持ち主です。

 ファンドがやすらぎを買収し、新井社長をスカウトしたその時点では、数年にわたって売り上げが下降していました。「中古住宅を買い取り、付加価値をつけて再生し、販売していく」、新社名カチタスの由来でもあるビジネスモデルの基本は生かしながら、第2の創業として売り上げを回復させつつ成長軌道を描くことが、新井社長に課されたミッションとなりました。その意味では、銀行出身の企業コンサルタントでMBA取得者であり、かつ不動産業界の現場を熟知して幅広い人脈をもった氏はまさしくその適任と思しき人物であったというわけなのでしょう。

 新井社長の下でカチタスは、競売市場をベースとする物件の仕入れ手法を根本から見直ししました。バブル崩壊後の長期景気低迷が一服し、入札にかかる物件が減ったことが売り上げの減少に大きな影響を及ぼしていたことから、競売物件に頼らない仕入れへとシフトします。

 個人所有の中古住宅は質の優劣差が激しいものの、それまでの豊富な経験から再販売できる物件見極め力とリフォームノウハウを蓄えていたことで、後述する他社にはないスタイルを確立できたことが幸いしました。それにより、仕入れの9割以上を占めていた競売物件をごくわずかにまで減らすことに成功し、売り上げのV字回復が可能になったのです。

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