食品から日用品、雑貨、アパレルなど、ユニークな商品を次々と打ち出しているドン・キホーテ。しかし、ドン・キホーテにも、長年苦戦していた分野があった。運営会社であるパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の向剛史さん(PB企画開発担当)に話を聞いた。
ドン・キホーテが苦戦していたのは「ボトムス」だ。トップスでは、表裏前後がないTシャツや硬すぎるTシャツ、方言Tシャツなどユニークな商品を展開していたが、ボトムスではなかなかヒット商品が生まれなかった。その理由について、向さんは「アウターやトップスと比べて、ボトムスはデザインやビジュアルで他社との差別化が難しいアイテムです。普通のボトムを販売しても、アパレルメーカーには到底敵わない。つまり顧客にとって『ドン・キホーテで買う理由』がなかったのです」と分析する。
また、店舗設計も苦戦する要因の1つだった。ドン・キホーテの店舗の多くは、試着室がない。Tシャツやパーカーよりもサイズやフィット感が重視されるボトムスは、手に取られにくいという。
苦戦が続く中、流れを変える商品が生まれた。2020年9月に発売した「色褪せ知らずの黒 スキニーパンツ」(3289円)だ。
同商品は、黒ズボンならではの悩みである「色落ち」を軽減した商品だ。洗濯時の色落ちを防ぎ、はっきりとした黒さが持続するようにした。色落ちしにくい特殊な染料と薬剤を使用し、生地を構成する糸自体に色を浸透させることで、色が落ちて白く見えてしまうことを防いでいる。
同商品は「80回洗っても全然色落ちない」というフレーズで販促している。公的機関で、生地の状態でどこまで色落ちしないか検査を実施。加えて、実際に洗濯を繰り返し、80回洗っても色にほぼ変化がないことを確認したという。色褪せ知らずの黒 スキニーパンツは、シリーズ累計販売数が40万点を突破。現在の売り上げも、昨年比約115%と好調だ。
ドンキでバカ売れの家電「置くだけエアコン」 担当者「特に人気の地域がある」、なぜ?
ドンキの“固すぎる”Tシャツがじわじわ売れている 開発者が生地の厚みにこだわったワケ
ドンキ、「日傘」のようなTシャツを開発 ジャケットと組み合わせたい担当者が着目した“小さな”イライラ
「のれる扇風機」が即完売 “転売騒ぎ”になるほど人気になった2つの理由Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング