ホンダもスズキ同様、二輪車から軽自動車を経て普通車まで生産販売するまでに成長したメーカーである。
ホンダは従来、スポーティーなモデルや斬新なRVなど、独自性のある普通車でヒットを飛ばしていた。一方、軽自動車の売り上げは低迷していた。
そもそもT360という軽トラックで4輪メーカーとしてデビューを果たしたこともあり、アクティというホンダならではのミッドシップ構造の軽トラックを販売していた。ところが、オデッセイやステップワゴンといったミニバンなどのRV系に力を入れてヒットを生み出す一方で、軽自動車メーカーとしての存在感は希薄になっていった。
そこでホンダは社運をかけて軽自動車を再解釈し、国民に支持される軽自動車を開発することにしたのである。その結果、生み出されたのが、N-WGN(Nワゴン)であった。
従来の軽自動車ハイトワゴンの常識を超えた品質や乗り味を実現した結果、価格は高いが満足度の高いクルマが出来上がり、多くのユーザーから支持された。しかしながら、凝りに凝った構造と仕様が災いし、高コストとなってしまった。おまけにライバルは他社製軽自動車であったはずが、同じ店舗で販売する普通車からの乗り換えが続出したのである。
初代のN-WGNはホンダに利益をあまりもたらさず、ディーラーにとってもお客さんは増えても収益は上がりにくい構造を招いてしまった。2019年に発売した2代目では、こうした問題点は改善され、販売店もメーカーも潤うモデルとなったようだ。
ともあれホンダの影響もあって、乗用車の新車市場の4割は軽自動車が占める(もちろんスズキ、ダイハツの人気モデルもかなり多い)状況になっているのが、現在の日本の乗用車市場なのである。
一方でトヨタのアルファードやランドクルーザーといった大型乗用車の人気も高く、残価設定やリセール性を見込んだ高額車両と軽自動車の二極化が進んでいる。これはクルマにどれだけお金を使うかというユーザーのカーライフに関する価値観の違いから来るものだ。
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