エビスの体験施設がオープンして6カ月が経過した。サッポロビールは「目標20万人」(4〜12月)を掲げているが、反響はどうなのか。来場者は3カ月ほどで10万人を超え、10月7日に17万人を突破した。「このままのペースで推移すれば、目標は前倒しで達成できそうだ」(広報部の小野寺哲也さん)とのこと。
有料のガイドツアーも実施していて、参加費は大人が1800円。「平日に3回、週末に7回」行っていて、いずれも好評である。各回の定員は20人だが、予約はほぼ100%で埋まっているようだ。
「ビール工場の見学」と聞くと、大規模の施設にタンクがどーんと並んでいるといったイメージがある。都市部から離れていて、海沿いにあるところが多い。しかし、エビスの体験施設は違う。冒頭で紹介したように、JR山手線または東京メトロの恵比寿駅から徒歩10分ほどのところにあるので、超便利である。
来場者が多い理由のひとつに「交通の利便性」が挙げられるが、ほかになにかあるのか。マーケティング本部の沖井尊子さんに聞いたところ「体験」という言葉を何度も口にした。10年ほど前から「『コト消費』って大切だよね」と言われ続けているが、ここではどのような体験をウリにしているのか。
衛生上の問題があるので、さすがにビールづくりに参加することは難しいようだが、ここでしか飲めないビールを、しかもさまざまな種類を提供していることが挙げられる。
定番として扱っているのは、恵比寿工場時代の酵母を使った「エビス ∞(エビス インフィニティ)」と「ブラック」(いずれも1100円、380ml)。このほかに、月に1〜2種類ほどのペースで、これまでになかったビールを提供している。
「ん? ビールってそんなに簡単につくれるの?」と思ったが、もちろん答えは「否」。施設の運営に携わっているメンバーは、開発担当者に「こんなビールはどうかな?」「この味はいいかも」といった具合に、アイデアをどんどん出しているそうだ。
問題はその後である。アイデアをカタチにするのは、簡単ではない。しかも毎月の話である。しかもしかも、今後もそのペースで出し続けるそうである。
アイデアを出す人、それをつくる人のチカラは欠かせないわけだが、それだけではない。「大きな工場で、新しいビールをどんどんつくっていくのは難しい。この施設のような規模であれば、新しいことにチャレンジしやすいんですよね」(沖井さん)という。
サッポロビールの生産規模からすれば、1回の醸造で「500ml 缶2000本」という数字は、ほぼ“誤差”ともいえる。しかし、小さな規模であるからこそ、「ちょっとやってみようか」といった感じで、新しいことにチャレンジできているようだ。
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