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急成長企業の「バックオフィスSaaS活用」最適解 創業半年で16億円調達したベンチャーの裏側あの企業が使うバックオフィスSaaS(2/2 ページ)

» 2024年10月15日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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左からアカウンティングチームの鈴木大也マネージャー、橘大地CEO、開田康志CFO

システム間連携の重視

 3つ目のポイントが、各システム間のスムーズな連携である。異なる業務システムを使用する中で、データの手動移行や二重入力は大きな負担となるため、APIやCSV連携を活用し、自動データ同期を実現することで効率化を図っている。

 例えば、経費管理システム「バクラク」と会計システム「マネーフォワード会計」ではAPI連携により、経費データがリアルタイムに同期でき、請求書の受取から仕訳、支払いまでのプロセスが自動化されている。

 しかし、一部の業務プロセスではAPI連携が整っていないため、CSVファイルを介して手動でデータをインポートする必要がある。特に、売上データの連携においては、「Salesforce」などのシステムからのデータをいったんCSV形式で出力し、「マネーフォワード会計」に取り込むという作業が求められている。

 開田CFOは、「CSVを使わざるを得ない部分もあるが、現在の業務量では大きな問題にはなっていない。しかし、将来的には全てのプロセスをAPI連携で自動化したい」と述べ、今後の課題として認識している。システム連携の改善は、スタートアップの迅速な成長を支えるための重要な戦略となるだろう。

SaaSが切りひらくスタートアップの未来

 PeopleXの事例は、2024年時点でのスタートアップにおけるSaaS活用のベストプラクティスを示している。創業間もない企業が、ゼロからSaaSを組み合わせてバックオフィス機能を構築した結果だ。

 ただし、SaaSのベストプラクティスは急速に変化する。1年後には全く異なる選択が最適解となる可能性もある。機能を重視するか、SaaS間の連携を優先するか、あるいはユーザビリティを最重要視するかで、最適な選択は変わってくる。

 PeopleXの事例は、バックオフィスSaaS構築の1つの指針となるが、各社の状況に応じた柔軟な判断が求められる。各社の例を参考に、自社に最適なSaaS構成を検討することが、スタートアップを始めとする企業の成長を加速させる鍵となるだろう。

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