みずほグループでは、開発・導入したこれらのツールの活用をどのように広めているのか。2023年11月から2024年8月にかけて、利用率は全社的に主に右肩上がりで上昇している。だが、本部と営業部店で比較すると本部が進んでおり、その利用率には顕著な差があるという。細かい数字は公表していないが、その差は3倍近い開きがある。
「営業部店での生成AIはまだ始まったばかりの、アーリーアダプターの段階だと捉えています。営業部店に対しては単純接触回数を増やしていくことで利用率を伸ばす方針です。本部の方は利用率が数十パーセントまで届いており、アーリーマジョリティ段階に一定程度到達している認識しています。本部に対しては利益実感、ユースケースを積み上げる施策を今後重視しています」
みずほグループでの生成AIの主なユースケースとして、齋藤調査役は「契約書の一次チェック」「過去のエクセルVBAマクロの修正」「業務記録に基づく自身の振り返り」「フリーコメントの分類」「取引先の事業計画の検証」「監査計画の立案補助」の6つを挙げる。「こうした社内のユースケースを、いかにしてグループで横展開し普及させていくかが課題」だと話す。
今後は生成AIの効果検証も進めていくという。効果検証はWiz Chatの利用ログを分析することで継続的に進めており、徐々に利用の高度化が進行している。内製開発ラボでは、数十万件のログに対する自己分類的分析AIツールの構築も進めている。
みずほグループでは「生成AIの真の効果はまだ途上」だとしている。どうすれば生成AIの真価を引き出せるのか、効果測定の仕組みも導入し、集計・分析・打ち手検討のPDCAサイクルを回していく。
みずほグループに限らず、2023年以降いち早く自社で生成AIツールを導入した企業は珍しくない。ところが、その社内活用の段階となると、導入から1年以上経っても各社で試行錯誤の状態が続いている。現状はその試行錯誤に対し、効果検証を進めている状況だ。
導入から社内活用、そして効果測定。多くの企業が「生成AIの導入がゴールではない」難しさを実感している。
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