Excelバケツリレーで資料作成──20年前と変わらぬ業務フロー、どう改善していくべきか?ホワイトカラーの生産性はなぜ低いのか?(1/2 ページ)

» 2024年10月30日 07時00分 公開
[村田聡一郎ITmedia]

 あなたの会社でも、毎月行われる「役員会」。そこで用いられる前月の売上や利益などの「報告資料」は、Excelのバケツリレーでできあがったものではないだろうか。各営業部門や工場が、売上高や出荷高を表にまとめて「上」に送る。

 上はそれをとりまとめた集計ファイルをさらに上に送り、それをさらに上がとりまとめ……時間も手間もかかるExcelバケツリレーを、10年前、20年前と変わらずに続けている日本企業は、まだまだある

 ホワイトカラーの仕事を、どう効率化していくべきか。日本が誇るブルーカラーの「カイゼン」文化に照らし合わせながら考えたい。

筆者は2024年5月下旬に書籍「ホワイトカラーの生産性はなぜ低いのか〜日本型BPR 2.0」を上梓し、おかげさまで3カ月を待たずに3刷が決まるなど、一定のご評価をいただいた。本連載では、そのエッセンスをお届けしたい。

なかなか進まぬ効率化 現代のホワイトカラーは、つまるところ何か?

 ところで、そもそもブルーカラーとホワイトカラーとは何だろうか。この2つの厳密な定義を突き詰めることは本稿の目的ではない。あなたがすでに持っている、次のような大まかなイメージを頭に描いていただけば十分だろう。

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  • ブルーカラー:主に工場、倉庫、物流、店舗、修理といった現場で仕事をする職種。生産、物流、販売、保守など
  • ホワイトカラー:主に自社や取引先のオフィスで仕事をする職種。営業、研究開発、生産管理、経理、企画、総務、調達、人事、IT、マーケティング、広報、そして役員など

 なおブルーカラー系の職場でも、いわゆる管理職になるにつれて、業務の中でホワイトカラー的なタスクが占める割合が上がっていく。

 部長級くらいから上は、実質ホワイトカラーと言えるだろう。もちろん役員も皆ホワイトカラーである。

 名前の通り、かつては襟(Collar)の色、つまり服装で線引きをしていたわけだが、実は、現代においては、非常に分かりやすい見分け方がある。現代のホワイトカラーとは、事実上ほぼ全ての作業をPCを介して行っている職種、である

 上記でブルーカラーとして例示した職種は、フィジカルなモノやヒトを主な対象としており、PCを使うことはあってもあくまで副次的な用途である。

 一方ホワイトカラーとして例示した職種、あるいはブルーカラー職場の管理職的なタスクは、いずれも現在ではPCなしではほぼ仕事にならないだろう。実際、業務時間の大半はPCに向かっているはずだ。

 この区別は実は非常に重要な意味を持つ。ブルーカラー業務はフィジカルなのに対し、現代のホワイトカラー業務はデジタルなのである。

 ホワイトカラー自体は100年以上前からある概念だが、ほんの25年ほど前までは、オフィスにPCは普及しておらず、ホワイトカラーも「紙とエンピツ」で仕事をしていた。つまり仕事の媒体(メディア)自体はフィジカルだったから、ホワイトカラーもブルーカラーも、仕事の仕方にはさほどの違いはなかった。

 ところが1990年代半ば以降、世界中の企業で、ホワイトカラーの仕事の媒体の「デジタル化」が急速に進んだ。簡単に言えば、「紙とエンピツ」から「PC」への移行が起きた。

 そして、この移行に伴って、ホワイトカラーの生産性に革命が起きた。ホワイトカラーに定型処理をやらせる価値がゼロになってしまったのだ

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