あなたの会社でも、毎月行われる「役員会」。そこで用いられる前月の売上や利益などの「報告資料」は、Excelのバケツリレーでできあがったものではないだろうか。各営業部門や工場が、売上高や出荷高を表にまとめて「上」に送る。
上はそれをとりまとめた集計ファイルをさらに上に送り、それをさらに上がとりまとめ……時間も手間もかかるExcelバケツリレーを、10年前、20年前と変わらずに続けている日本企業は、まだまだある。
ホワイトカラーの仕事を、どう効率化していくべきか。日本が誇るブルーカラーの「カイゼン」文化に照らし合わせながら考えたい。
筆者は2024年5月下旬に書籍「ホワイトカラーの生産性はなぜ低いのか〜日本型BPR 2.0」を上梓し、おかげさまで3カ月を待たずに3刷が決まるなど、一定のご評価をいただいた。本連載では、そのエッセンスをお届けしたい。
ところで、そもそもブルーカラーとホワイトカラーとは何だろうか。この2つの厳密な定義を突き詰めることは本稿の目的ではない。あなたがすでに持っている、次のような大まかなイメージを頭に描いていただけば十分だろう。
なおブルーカラー系の職場でも、いわゆる管理職になるにつれて、業務の中でホワイトカラー的なタスクが占める割合が上がっていく。
部長級くらいから上は、実質ホワイトカラーと言えるだろう。もちろん役員も皆ホワイトカラーである。
名前の通り、かつては襟(Collar)の色、つまり服装で線引きをしていたわけだが、実は、現代においては、非常に分かりやすい見分け方がある。現代のホワイトカラーとは、事実上ほぼ全ての作業をPCを介して行っている職種、である。
上記でブルーカラーとして例示した職種は、フィジカルなモノやヒトを主な対象としており、PCを使うことはあってもあくまで副次的な用途である。
一方ホワイトカラーとして例示した職種、あるいはブルーカラー職場の管理職的なタスクは、いずれも現在ではPCなしではほぼ仕事にならないだろう。実際、業務時間の大半はPCに向かっているはずだ。
この区別は実は非常に重要な意味を持つ。ブルーカラー業務はフィジカルなのに対し、現代のホワイトカラー業務はデジタルなのである。
ホワイトカラー自体は100年以上前からある概念だが、ほんの25年ほど前までは、オフィスにPCは普及しておらず、ホワイトカラーも「紙とエンピツ」で仕事をしていた。つまり仕事の媒体(メディア)自体はフィジカルだったから、ホワイトカラーもブルーカラーも、仕事の仕方にはさほどの違いはなかった。
ところが1990年代半ば以降、世界中の企業で、ホワイトカラーの仕事の媒体の「デジタル化」が急速に進んだ。簡単に言えば、「紙とエンピツ」から「PC」への移行が起きた。
そして、この移行に伴って、ホワイトカラーの生産性に革命が起きた。ホワイトカラーに定型処理をやらせる価値がゼロになってしまったのだ。
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