1個40円の「パチパチパニック」売上10倍に 子どもが減っているのに、なぜハジけたの?売上高は約7億円(3/4 ページ)

» 2024年10月31日 08時08分 公開

「エンタメ菓子」としてブランディング

 アトリオン製菓は、パチパチパニックを単なる駄菓子として捉えるのではなく、「エンタメ菓子」としてブランディングしていくことを目指している。食べたときに音が出るという点で競合する菓子は少なく、その独自性を生かす狙いだ。

 「パチパチパニックは口に入れると音がして、しかめ面だった人も笑顔になる。そういうエンターテインメント性を持っている」(高宮氏)

photo パチパチパニック「グレープ味」

 このエンタメ性を訴求するため、さまざまな取り組みを展開している。テーマソング「パチパチパニック!」を制作したほか、8月8日を「パチパチの日」と制定し、同日にアイドルグループ「SKE48」とコラボするなど、商品の認知度を上げるための活動に注力している。SKE48とのコラボ動画は、SNSに投稿したところ普段の10倍となるインプレッションを獲得したという。

工場からメーカーに進化。課題は?

 同社は2023年に丸紅の子会社となり、社名をアトリオン製菓に変更しただけでなく、生産を中心とした組織から、マーケティング開発、調達、物流、販売までを担うメーカーへの転換を図った。2024年3月には需要の高まりに対応するため、生産能力を2.5倍に増強し、今後3〜5年で売上高20億円を目指している。

photo アトリオン製菓の代表菓子のひとつ「ヨーグレット」

 これからの課題は、スーパーマーケットでの売り場を増やすだけでなく、子ども以外にターゲット層を広げていくことだ。

 山下社長も「例えば、育児や家事に疲れたときのリフレッシュや緊張した会議の場でのアイスブレイクなど、さまざまなシーンで楽しんでいただけるとメーカー冥利に尽きる」と、大人向けの活用シーンにも期待を寄せる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR