アトリオン製菓は元々、明治グループの一部商品を受託製造していて、営業力のある組織ではなかった。そこで、大手菓子メーカーとの競争が激しいスーパーやコンビニではなく、当時はまだ競合企業が少なかった100円ショップに着目した。取引先数が限られることから、少ない営業リソースでも取り組みやすい市場だったと高宮氏は説明する。
この戦略は見事に的中した。100円ショップの店舗数も過去10年で大きく増加しており、例えばダイソーは、2024年2月時点で国内外に5325店舗を展開し、20年前から2000店以上増やしている。現在、パチパチパニックの売り上げ全体に占める100円ショップでの販売割合は2〜3割に達するという。
さらに、市場環境の変化も追い風となった。「大手メーカーが駄菓子のような低価格商品から撤退していった」と高宮氏は語る。大手が収益性を重視し高価格帯商品に集中する中、同社は逆に低価格帯市場でチャンスを見出した。
ただし、新規の販路拡大は容易ではなかった。社長の山下奉丈氏は「定期的な棚替えがある他のお菓子カテゴリーと違い、駄菓子売場は商品の入れ替わりが少ない」と、参入の難しさを説明する。
逆に言うと、定番商品として採用されると、安定的な販売が期待できる。実際に、パチパチパニックは参入障壁をクリアすると、リピート購入も多いことから定番商品としての地位を確立していった。
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