大前提として、LUUPの問題は見過ごせない。SNSなどで拡散されるLUUPの危険運転やマナー違反などは、ローンチ当初から見られるものだった。特に、運転時に推奨しているヘルメットの着用(CMでも二宮和也氏がヘルメットを装着している)だが、実際の路上では、ほとんどの利用者がヘルメットを着用していない。
こうした順法意識の浸透や、マナー違反、事故対策が後手に回ってしまっていることは、批判されても仕方ないだろう。加えて、諸外国では電動キックボードが規制されている現状もある。
また、10月16日に発表された新体制では、元警視総監の樋口建史氏がLuupの監査役に就任。これが「天下りではないのか?」という憶測を呼び、批判が加速した。ここ数年の電動モビリティに対する規制緩和には「LUUPのためでは?」と思えてしまうものも多く、そうした批判へ火に油を注いだ形となった。度重なる規約の改正なども「改悪」と言われ利用者から不満の声が出ることもあり、総合的にLUUPへの不満が噴出している状況だ。
これらを踏まえた上で、筆者は「LUUPには『叩かれやすい構造』がある」と考えている。それはなぜか。答えは大きく分けて2つある。「インパクトが大きい」車体と「都心中心のポート戦略」だ。
筆者は以前、LUUPの競合サービスのHELLO CYCLINGを手掛けるOpenStreetの代表・工藤智彰氏にインタビューしたことがある。その際、工藤氏が興味深いことを述べていた。「電動キックボード」の見た目のインパクトについてである。
『やはり、あの車体のインパクトはすごかった。キックボードに乗って走っているだけで、シェアサイクルの印象が刻まれるわけです』(マネー現代 2024年5月19日)
前述の通り、Luup以外にもドコモ・バイクシェアやOpenStreetなどの事業者がいる。ただ、ドコモ・バイクシェアやOpenStreetが主力としてきたのは通常の自転車と変わらない、いわゆる「電動自転車」的なものだった。
一方、Luupは「電動キックボード」という「立って」操作する「見慣れないもの」を主力としてきた。Luupは電動自転車のサービスも手掛けているが、「LUUP」と聞いて思い浮かべるのは、やはり電動キックボードだろう。選んだ車体が「悪目立ち」の原因となっているのだ。
増え続けるLUUP ルーツは「創業時に断念した事業」にあった
9割が批判? 急速に進んだ電動キックボード規制緩和への違和感
「ソフトバンクVS.ドコモVS.LUUP」 シェアサイクル「三国志」で後発が取った拡大戦略
2人乗車はなぜ難しい? 超小型モビリティ「Lean3」が日本では1人乗りの残念な事情Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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